【芝居】「自決女」てらりすと
2013.1.13 17:00 [CoRich]
台詞と歌詞と演出を中屋敷法仁、てらりすとが曲を付け、演じるという「一人妄想ミュージカル」。 50分を11曲に仕上げた本編に、レコ発ライブの3曲を足して全体で100分ほど。USTREAMライブも入っていました。25日にもう一ステージ。TwinBox AKIHABARA(関係ないけれど、T-ZONEやらキッチンジローやらチチブ電気やらの一角に!)
その子は学級委員だった、たまたまクラスメートの自殺を止めた、それで担任に名前を呼んでくれたこと、先生にその子を守るように云われて、頑張って止め続ける。が、担任もクラスも、そのいじめられっ子ばかりが注目を集めることが、彼女にはどうしても我慢ならなくて。
自殺、女子高生、一人芝居といえば、おなじ作家の手による「いきなりベッドシーン」( 1, 2) をプロトタイプに持つような物語。一人の女子高生の想い、それは決して幸せな物語ではないけれど、きっちりと歌いあげる濃密な時間なのです。どこまでも前向きだったはずの少女の歯車が本人の意図は関係なくいつの間にか狂ってしまった「いきなり〜」とは少々異なります。歯車の狂い方が、もっと自覚的で恋する心、なぜ自分ではなくて彼女が注目を浴びているのかということへの微妙なやっかみ、という意味でもっと病んでいる気もしますし、単に間違った前向きさ、捉えることも出来そうです。
曲は十分にポップで口ずさんでしまいそう。が、歌詞の方は後半にかけて(曲はポップでも)どんどん悲惨な感じでもあって、ミュージカルの明るさのようなものとは対局で、そういう意味では相当に癖があるナンバー揃いです。
- 毎日階段駆け上がり、私はあの子が屋上に居ないことを担任に報告する「酸欠女」
- あの子はいじめられている「不潔女」
- あの子の自殺をあの手この手で止める「対決女」
- 担任は何も手を打たない、クラスメイトたちはあの子をそそのかす「団結女」
- 最初に自殺未遂が発覚したとき、先生は私の名前を呼んでくれた。あの子のことを私経由で担任に伝えらればいい「吸血女」
- あの子は何もかもがむかついて注目を浴びる、どうして彼女はそこまでできる「墓穴女」
- 遺書がみつかったといって、私は先生の家に行くけれど先生はあの子の筆跡はわかるのに「解決女」
- 何でも知ってるしトラウマも何もないけれど、私はまだ恋をしてない「清潔女」
- 私は決心する、屋上へ「豪傑女」
- 屋上の風は強い、私は前へ前へと進む「自決女」
- 私は落ちていく、私はもう居なくなる「完結女」
たとえば1で階段を上っていく音と9のそれ、あるいは3.のさまざまな止め方に対して7.でアタシならこう突破する、といった具合に歌詞やリズムが対になっているような構成になっていたり、と、相当な企み。歌詞を書いたのも作家自身で、そういう意味では(少々悪趣味だったり楽しい感じではないけれど)
ライブですから、歌が中心になります。が、台詞の部分はあらかじめ録音した形というのが少々残念といえば残念なのですが、実際にみてみると、歌のボリュームや迫力に、これを一人きりで演じ続けるわけにはいかない、ということもよくわかるのです。
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