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2013.01.02

【芝居】「バナナ学園大大大大大卒業式」バナナ学園純情乙女組

2012.12.31 21:00 [CoRich]

2012年末を最後に解散するバナ学の最終公演。その最終回。31日まで王子小劇場。

ここ数本のバナ学は、物語というか芝居の部分がほぼそぎ落とされていて、「おはぎライブ」と呼ばれるヲタ芸だったり、迫力あるダンスだったりでの圧巻な60分。統制の取れたダンスというより群舞、さまざまなリミックス。物語はとうになくなっていて、卒業式的だったり、ヲタ芸だったり、あるいは学生運動的だったりと、「人間が大量に集まり統制をとって動くこと」の迫力を感じさせます。そういう統制と動きというものの、力強さと怖さが入り交じるある種の異様さが舞台を埋めつくし、客席のアタシたちですら安全ではなく、巻き込まれる感じ。

演じている彼らはぶれず、人と人が繋がるということの表現なのだろうとおもうのだけれど、アタシたちが生きている時代というか雰囲気がどんどん危なく、危うくなっていると、同じ舞台が全く違って見えるようになってきていて、アタシには観ているのがどんどん怖くなっていて、このスタイルの舞台を見続けるのが辛くすら感じるようになっているのです。これが最後ということは残念でもあり、少し安心でもあり。

とはいえ、二階堂瞳子というクリエーターが作り出す舞台の精度の凄さ。もちろん迫力やカオスというのはずっとそうなのだけれど、それを緻密な精度で作り出すこと「しか」許されないという最終公演のなかで、奇跡的なバランスを生み出しているという気はするのです。正直に云うと、物語を失い、「おはぎライブ」主体になってからのバナ学を積極的に観る意思はじっさいのところ、どんどん薄くなってきていたのですが、最後まできっちり走りきったクリエータの意地を観る思いなのです。

もうひとつ正直に云うと、身分証明を要求するライブのありかたは、少々やだな、と思わないでもないかったのです。前回公演での観客(というよりは被害にあったといわれる観客の友人なのでしょうが)からの告発というきっかけが、この劇団の解散を決定づけました。被害を受けたと思っている本人には強く同情しつつも、アタシはナマで観る以上、観客だって無事では居られないリスクはどんな芝居でも内包しているともおもうのです。解散公演にあたり、彼らが選んだのは、(最近の)バナ学の雰囲気はそのまま残しつつ、どの部分がリスクで、何が起こりうるかということを、観客と(販売にあたり長い文章で)どこまでは許容するか、そのために彼らは何をするかを提示するというやり方でした。もう、観客と作り手の間には深い溝ができてしまうこともあるのだ、空気を共有することができないのだ、互いのリスクを納得して公演を行うのだということは、悲しくてならないというのも、本心なのです。

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