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2013.01.15

【芝居】「茶番劇」味わい堂々

2013.1.13 14:00 [CoRich]

13日までSPACE雑遊。110分。

戦争から逃げてきた女の先生。怪我をして気を失い、家に匿われている。医師の父親、その愛人、娘、息子、叔父が暮らすその家は毎日バカ笑いが絶えないが、戦争から逃げてきた先生はまったく笑う気にならない。笑うしなかいのだ、と父親は云い、先生の気持ちも解けていく。
すっかり全員でトランプをするようになった日常、娘が書きためた漫画を出版社に持ち込みたい、という。が、父親は頑として許さない。

友人の評価が分かれた感想も聞きつつ、すこし緊張して観始めました。戦争から逃げて生き残った女教師が、匿われた家のバカ笑いにまったく打ち解けられず、笑う気にもならない日々、つまりはこれが日常なのです。笑って、ここれが幸せなことだいう着地にするかと思えば更に物語は続き、娘の漫画好きから始まるほころびが、この暖かな繭の中の外側にある現実の厳しさを思い起こさせてしまうのです。

なるほど、出て行きたくない場所だったり、あるいは現実のことは薄々判っていても、見ない振りをして、やりすごそうか、というということ。戦争のはなしではありますが、これは今の私たちと原発の姿の写し絵だと思うのです。あるいは、仕事とかプライベートでもなんか、そういうスパイラルになることもあったりするのです。

宮本奈津美は実にきりりとしていて、中盤でのぎこちない笑顔が印象に残ります。尺八子は、頑固でしかし笑いの絶えない家を守る大黒柱の説得力。浅野千鶴はかわいらしく、これもまた頑固に出て行こうという雰囲気に説得力があります。

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