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2013.01.13

【芝居】「パブリック・リレーションズ」JACROW

2013.1.12 14:00 [CoRich]

JACROWの新作は、TV局とPR企画会社(というのかよくわからないけれど)をめぐる人々の物語を105分。14日までOFF OFFシアター。

4人の社員と共にPR企画会社を立ち上げた男は熱い思いを語り営業を開始する。企業を情報バラエティの制作スタッフに売り込み、番組で取り上げてもらう仕事はまわりはじめているが、苦戦を強いられている。人気の出始めたカフェチェーンの仕事は接待で絶対勝てると云っていたにもかかわらず、コンペで敗れてしまったのに、営業担当者は悪びれるでもない。ある肉まんの番組への売り込みに成功したが、すでに番組の反響を前提に在庫を増やしているのに、テレビ局は番組の都合で取りやめを通告してくる。担当営業はもう無理だと思っているが、社員の一人が自分がもう一度再検討を依頼するといってテレビ局に向かう。

特定の商品を取り上げるタイプの情報バラエティと、そこに取り上げられる企業をつなぐ、という地味なんだか派手なんだかわからないけれど、しかし確かに今の日本をよく表している感じの「仕事場」を少しばかりドラマチックに、しっかりと熱量を持って描きます。

新しくやりがいのある仕事だと熱い想いで邁進する人々や、発想のおもしろさが絶対である企画という仕事への思い、あるいは旧来の接待や談合めいた仕事の割り振り、疲弊する現場の姿、あるいは「女」を武器にした営業の姿など、業界ゆえという感じはあれど、営業成果とクリエイティビティの狭間な仕事ならば多かれ少なかれありそうな要素をめいっぱいに詰め込んで描きます。

物語の斬新さというよりは、類型的かもしれないけれど仕事の現場でありそうな人々、キャラクタをしっかりと設定して箱庭のように描いていて、人数が絞られていることもあって、過不足のない登場人物のぴったりな感じが気持ちいいのです。登場人物たちをしっかりと、特に悪者にされがちな人々にすら、そう行動している美学だったり理由だったり丁寧に描くのは作家のある種の実直さ、誠実さを感じますし、いわゆる会社組織の仲で仕事をしたことがあるのだろうな、というリアリティがしっかりと。

接待や袖の下を駆使した古い営業スタイルがはっきり負けと描かれ、肉まんの最初の売り込みにせよ、復活をねらった売り込みにせよ、あるいはテレビ局の番組企画の若者にせよ、仕事のクオリティが優れているもの(少なくともクオリティを上げる努力)が結局勝つのだというのは、相当にファンタジーではありますが、そうありたいと思うし、作家の熱さというかいい意味での青さがすてきなのです。

ネタバレかも

プロデューサーを演じた寺十吾が圧巻の存在感。テレビ局スタッフに対する専制君主のような怖さも、外部のお客様に対する一定の丁寧さも、あるいは誰になんと云われようと揺るがない自分の仕事に対する絶対的な自信というキャラクタの説得力も相当のものです。特に、後半で描かれる女と寝たことと、仕事を受けることに決めたことはまったく別なのだという美学のかっこよさは、よく考えたら相当に無茶苦茶なものですが、寺十吾の存在感がそれにリアリティを与えていて素直に信じさせられてしまうのです。

菊池未来演じる女性社員がそこまで仕事で認められたいと、突っ走る理由が今一つ腑に落ちない(社長の元恋人だということが、まあその理由付けなのだろうけれど)感はあるけれど、少々地味に見える故に感じる色気(胸ではなくパンツを、というあたりの微妙さもいい)。一方で熱心に仕事を売り込んだのだろうなと思わせる真面目さも感じさせるバランスが実によくて。

営業担当の社員を演じた堀奈津美は少々コスプレチックに感じないことはないのだけれど、言い寄ってくる男のあまりの多さにうんざりしたゆえに枕営業を潔癖に嫌うという説得力があります。

接待などの古いタイプの営業スタイル、しかも会社よりも自分のしかも給与が大切というある意味ヒールを演じた谷仲恵輔は、とても人間くさくて、(職種はずいぶん違うし営業でもないけれど)なんか心根が他人とは思えないってのは、やっぱりアタシも古くて自分勝手なだめ会社員なんだろうなと思ったりもします。

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