【芝居】「罪を喰らう」elePHANTMoon
2013.1.13 19:30 [CoRich]
エレファントムーンの新作。90分。14日までサンモールスタジオ。
その島では人の罪を食べて無かったことにしてくれる「罪喰い人」が伝承されてきた。その罪喰い人が亡くなり、長男は嫁を残したまま島から姿を消す。東京にでていた次男は葬式には間に合わなかったが戻ってきた。やはり東京に居る三男は仕事を失い、嫁と共に戻ってきていて、罪喰い人を引き継ぎたいと考えている。ここにずっと住んでいる四男はそれが少し気に入らない。湖にあった釣り船は村長の娘が事故で亡くなったあと、産廃処理施設の工事が始まっているが、釣り船をやっていた男はこっそりその湖に立ち入ろうとして止められている。
罪を食べれば、被害に遭った側も含めて「諦める」という伝承、かなり立派に作り込まれた社の一室や、わりとちゃんとしている和服や巫女姿で、完全に創作(だとおもう)のわりには厚みのある雰囲気のある世界(=家)をきちんと作り上げます。
そういう伝承がある、そういう人々が居る、そういうことが起きる、ということが点描されつつも、全体で物語が描こうとしていることが今一つ見えない感じはあって、世界にはある種の気持ち悪さはあっても、誰かが成長するでもなく、コミュニティが変質するでもなく、という意味でもう一歩踏み出してほしいという感じはあります。
罪を食べれば、被害に遭った側も含めて「諦めてきた」という伝承と、そういう伝承はあっても、それで被害者も本当に諦めきれるのかという疑問を呈するあたり、その世界がそうなのだから、というところから見ている側の疑問に引き寄せる萌芽があるのだけれどそこ止まりなのは惜しい感じがします。
役者達はそれぞれの雰囲気によくあった登場人物をしっかり。次男の三男の嫁を演じた鈴木アメリは大人の女性をしっかりと。長男の嫁を演じた中野麻衣は全体を貫くように、しっかりとこの場を守る印象。
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