【芝居】「虫」Q
2012.12.24 18:00 [CoRich]
元々は卒業制作として作られた初演を2年ぶりの改訂再演。アタシは初見です。105分。24日までアトリエ春風舎。
ある夜、女が寝ていると窓から虫が入ってきて、うつ伏せだった自分の中に入ってきて、射精してしまう。虫は毎夜のように女の部屋を訪れるようになる。女は不味い弁当屋でバイトをしている。ケラケラと笑いスイミングスクールに誘ってくる女子大生と、廃棄の弁当を毎夜持って帰る若くない地味な女。不味いといいながら毎日同じ唐揚げ弁当を買って、毎日文句をつけている。廃棄の弁当を持って帰る女は産婦人科で出会った女に持って帰った弁当を渡していて。
弁当屋に集うアルバイトたちと客、もうひとつは女が育ってきた子供の頃からセーラー服頃の友達との会話を挟む物語の構成。舞台を囲むようにずらりと並べられた電子レンジ、弁当というのが物語の雰囲気を作ります。
夜毎訪ねてくる虫と同衾する女、それは押さえ込まれ犯されて、から始まります。バイト先で喋りすぎ笑いすぎで少々うざったいぐらいの(真っ赤なドレスは象徴的だ)女子大生だったり、地味で地味で地味な若くない女の描写だの、芽のでないままずるずると無駄な時間を過ごしている先輩(パイセン)のことだの、関わり会話する、それなりに近い関係の女同士の関係の考えていることと喋っていることの乖離度合いといい、わりと容赦がなくて、鋭い切っ先が持ち味だと思うのです。
廃棄弁当を毎晩持ち帰る地味すぎる女もまた、後半、無理矢理犯されるように処女を失い、それまでは周囲と関わることなく生きてきた女が、あからさまにバカにされながらも関ジャニのチケットの取り方を聴いてみたり、友達になりたいと関わるようになる、という、表向き前向きに変わる女という表現。じっさいのところ、この描き方でいいのか、これ男が描いたということだとボコボコにされるぞ、女性が描けば当事者意識ゆえだからいいのか、という感じがしないでもないのですが、確かにこの一連の流れは女が強く繭から出て行くという力強さを感じさせる瞬間ではあるのです。
女性の作演、女性ばかり、わりと生々しい話、といえばわりとアタシの好物なはずなのです。正直にいえば、発声だったりダンスっぽかったりが誇張だということは理解できても、どうにも乗り切れません。F/Tのような、というとアタシにはどちらかというと苦手な雰囲気を持つ芝居を指すのですが、食べ物をぶちまけてみたり、コンテンポラリーダンス風な振り付けがあったりと、まあ、アタシにとってのF/T風味だことこの上なくて、言葉や視線の鋭さには惹かれるところがあっても、こういう表現のカタチはどうにも苦手が勝ってしまうアタシです。テキスト(音声)、それもフラットな発声だけで味わってみたいな、という気はするのです。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「昼だけど前夜祭」劇団チリ(2024.09.16)
- 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2024」サードステージ(2024.09.08)
- 【芝居】「雑種 小夜の月」あやめ十八番(2024.09.01)
- 【芝居】「ミセスフィクションズのファッションウイーク」Mrs.fictions(2024.08.30)
- 【芝居】「氷は溶けるのか、解けるのか」螺旋階段(2024.08.27)
コメント