【芝居】「明日に殺される」コマツきかく
2012.12.28 19:30 [CoRich]
劇団としては一人ユニットに衣替え、ニューヨーク滞在を経ての初公演は、一人芝居。60分。29日までザ・スズナリ。 夜中、帰宅してきた男を待っていたのは久しぶりの女。男は家に入れるのを拒み近所の公園で話しを始める。ナイフを手に、人を殺す仕事をしているが、もう辞めるのだという。もう未練は無い、最後に話をしにきたのだという。一人芝居としては広めのスズナリの舞台。ソファ、と衝立、椅子ぐらいのシンプルさ。男に会いに来たとはいいながらも、どちらかというと女の半生語りを中心に据え。それが真実なのか、全てが女の中の妄想なのか、今ひとつ判然としないままに語られている気がします。
田舎のしがらみの中でもう女として終わってしまうという気持ち、 15歳の若い男にのめり込むことが見えてしまう自分、 はしゃぐ男に冷める自分、ピクニックに出かけて眺める幸せそうな家族、駄目男の部屋の二人、不倫中年のイタさ。ときおり自意識や痛さの笑いを挟みながらも、若くはない女の生々しい気持ちを少々荒っぽく、アンニュイっぽさと熱さが同居する不思議な雰囲気で描いていきます。
人、というよりは男との想いを「殺して」いくこと、あるいは女自身が殺される姿の妄想はもうこういう生き方をやめようと思ったのか、女のとめどない気持ちが整理されないまま。正直にいえば、一つの物語としては見やすい構成ではないし、むしろ個々の過去の男たちとのそれぞれを自意識語りで繋げていく部分が一番面白かったりするわけで、おそらくは本人が描きたい「女の半生」っぽさと、語り口の間のバランスに荒削りさが目立つ気はします。それでも、慣れた笑いやイタさではなく、語っていこうという心意気の行方は見ていきたいなと思うのです。
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