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2012.12.26

【芝居】「サンタクロースに逢いたくて…2012」LINER ACTORS SCHOOL

2012.12.23 20:00 [CoRich]

Hola-Hooperの菊川朝子の企画公演。 小さなライブハウス、演劇畑ではないミュージシャンと、小劇場の役者で構成。あえて演奏はさせず、役者も歌った踊ったりというクロスオーバーを「LINERS ACTORS SCHOOL」と銘打った企画。12月23日、昼夜2回公演。新高円寺・CLUB LINER。

中二のケントはみなしごでクリスマスにプレゼントを貰ったことがない。友達は気になる娘が居たり、デートを決めてるのが居たりと差が付いている。女の子たちもクリスマスのデートやプレゼントでちょっと騒がしい。足を怪我してしまっている娘だってクリスマスが楽しみだ。女手ひとつで育てる母親にその余裕はないけれど。ある夜、ケントは本物のサンタクロースに会う。

ミュージシャンと役者で作るミュージカル風味のミニマムだけれど、しっかりクリスマスらしいエンタテインメント。おそらくは短い稽古期間、訓練された役者ばかりではないということ、起こりそうなハプニングだって折り込み済み。どこまで演出がそれを意識して作り込んでいるかはわからないけれど、たとえば笑福亭鶴瓶が素人を番組に取り込む圧巻の巧さに似たような、異なる人々との境界を埋める演出のちからを改めて感じるのです。あるいはDJブースのマイクで一人二役に心の声を喋りつつ、動きだけは役者がやっているというのも、この制約の中で作り上げる手法として巧く機能しています。

ミュージカルらしく、歌い、踊るナンバーがめいっぱい。耳なじみなあの曲だって、ダンスがつけばまた特別な仕上がりになるのです。 童話よりはすこし大人な、しかし決して大人たちの物語ではない、ジュブナイルな中二世代たちのものがたりは、幼い恋心が甘酸っぱかったり、ほっこり暖かかったりなサンタの正体だったりと、けっこうな密度なのです。

恋する女の子を演じた畔上千春、過剰に女子っぽさを出す楽しさが健在で嬉しく。沖田愛が演じた「ピック売りの少女」も女の子もまた楽しさがいっぱい。娘を演じる澤田由起子との身長差を巧妙に隠す、足を怪我したという設定、てっきり足でも痛めた故の演出家と思えば、カーテンコールであっさり歩いちゃったりする遊び心も楽しくて。 こういう境界領域で、アドリブっぽくしかも要所要所はきっちり作り込むということを作演に振り付けまで一人でこなすことのすごさを改めて感じるのです。

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