【芝居】「週末たち」MU
2012.12.2 19:00 [CoRich]
三本続けてCOREDOで公演を続けたMUは、外部の作家をとりまぜての企画公演。4日まで。100分。
工場が災害に遭い生活費を捻出するために友達と「フリマ」。テレビ番組の企画でデビューし人気だったアカペラグループの男三人と事務所の人気グループのバーターな対バンライブ。音楽性のようなことでいつものように揉めている楽屋にライバルだった、しかしアイドルな女が訪ねてくる。台風の中観客は集まっているのに、対バンの相手は誰一人到着できていない「ジャンクション」
喫茶店で待ち合わせるOL、2時間も遅れてきた若い男へ、女は「暗い日曜日」
タイプの違う肉食女子二人が会社の同僚の草食女子の部屋に忍び込む。女子会なんだから恋バナから始めようというが、部屋の主はいっこうに乗ってこない「まめまめしい女」
日頃日勤だが初めて夜勤を手伝いに来た管理人はこの公園の潔癖を守ると堅く誓っている。が、夜は公園がまったく別の様相を呈している。将棋を指すミドルな男女も、「話がつまらない」というだけの理由で可愛いのに別れを切り出される女とその男の別れ話「こちらN公園管理人事務所爆発前」
オープニングの「フリマ」は女ふたり、切迫している一人と、そうでもないもう一人。外側で何か起きそう、という予感をつくりだします。
「ジャンクション」は 38mmなぐりーずのコント「境界線」の改訂版。(こういうことをちゃんと当日パンフに書いてあるのが嬉しい。) 38mmなぐりーずのコントでは女性のグループ同士だったものを、男子のグループと、楽屋を訪ねてきたかつてのライバルの女という構図へ転換。男たちの(すくなくとも表面上は)くだらない拘泥するポイントのバラバラさだったり、消えていない恋心だったりと、さまざまな味わいが加わっているように思います。ちょっとした手をかけて印象がずいぶんかわった印象がまた楽しく。メンバーの一人を演じた島田雅之はなかなかこういう「恋心」という役を演じたところを目にすることが少なくて、ちょっと珍しい感じ。
「暗い日曜日」は なんでも屋に殺人を依頼してあっさり受け付けられ、という骨格。証券会社のOLだから言葉とか時間とかの「常識」に厳しいけれど、依頼される男にとってのルールは全く別なのだということの会話が面白い。
「豆豆しい女」は、 女子会というよりは、秘密を(暴いてでも)共有して仲間となろうという女子っぽさが面白いと思うのです。そこで暴かれる会社の同僚に対する中傷ツイート、という感じも今の雰囲気をよく表している気がします。当日パンフで云われる、部屋主の「かわダサジャージ」がまったくもってそう見えないというのはご愛敬。
「こちらN〜」は mielの公演「 ま ○ る 」の中の一本・「まげる」が駅の物語だったもの(大量のマネキンを動かす人々で語るというアイディアが圧巻で秀逸だった)を、公園に集まるさまざまな人々の様子をのぞき見る感じにしていて、構造はずいぶん変わった気がします。海賊版、という言葉が頭に浮かんだりするけれど、そういう意味じゃmielの演出のほうがずーっとブートレグな感じではあります。それでも、ミドルの男女、別れ話の男女、公園の職員それぞれの事情をみせつつミクスチャしていく感じがお祭り感すら持っているのです。
芝居の出来もさることながら、COREDOでの公園というミニマムな感じに、たとえば当日パンフを通してのセルフライナーノーツ、あるいは(当日パンフにあるパスワードで)電子書籍ダウンロードで戯曲を公開するという、ハセガワアユムのパッケージが実に心地いいなと思うのです。
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