【芝居】「シックス・ストーリーズx2 ~ルームメイト募集中(A)」4LDK
2012.10.27 12:00 [CoRich]
一昨年、まつもと演劇祭で立ち上げられた4人ユニットが二年ぶりに。5分から10分程度の二人芝居を6本を1セットとして、And/Butと名付けられた2バージョンのうちAバージョン。50分。28日まで信濃ギャラリー。
夕方の出勤前、ファストフード店の片隅での若い女二人。客のこと、店のほかの女のこと、ゴハンどこで食べようか「U-20」(作・曽根原史乃)
独身最後の夜、一人で過ごす男を尋ねる男。彼から奪った恋人が明日結婚する妻なのだ「前夜祭」(作・椿宏尚)
結婚相談所で相性抜群と紹介された相手は、離婚した相手だった「結婚しませんか?」(作・三井淳志)
女占い師の元に毎日通い続ける男は新しい出会いがあるのだと信じ切っている「ピタリ当てます」(作・曽根原史乃)
自動車教習所の教習車に乗り込んだ生徒は★「あこたん」(作・三井淳志)
夕方の公園で声をかけてきた彼女は、自分を生む前の若い母親だった(作・竹内淑子)
4人の役者が脚本も持ち寄るというスタイルで、ワンアイディアをちからわざで押し切るもんから、ちょっと素敵な話までごった煮のバラエティ豊かな構成で気軽に楽しめます。どこにでももっていけるポータブルな芝居で、気負わず飲食店などで頻繁にやってほしいなと思うのです。バンドのライブなどの合間というあたりでも出来そうな感じがします。
「U-20」はギャルメイクでキャバクラかどこかで働く未成年を決して若くはないだろう(失礼)女優二人(曽根原史乃・竹内淑子)でという出落ち感はあるのですが(またそれが突き抜けてててちょっといい)、人の悪口とおいしいもの食べさせてくれるオジサンと彼氏や同年代のイケてる男の子と、今晩なにして遊ぼうか、過ごそうかという高校の延長な感じがまさに夕刻のファストフード感たっぷりで楽しい。なにかの物語と云うよりは、キャラクタを切り取って見せたという感じ。
「前夜祭」は男から彼女を奪って結婚する男のもとに、奪われた男が5年ぶりに突然訪れる、という話。修羅場になるでもなく、それもまた静かに祝福されるのだといういい話が徹底しています。殴るのかと思えば、写真を一枚という感じもしゃれています。転換のなかでその写真を大伸ばしにしたものを見せるというのも上手い作り方。
「結婚〜」は離婚したあとに結婚相談所でまたおなじ相手が紹介されるという、あっても不思議じゃないといえば不思議じゃないワンアイディアの勝負。離婚はしたのだけれど失敗じゃなかったという二人の想いが、じゃあメシでも、とはならないというのが大人な感じ。次の一本と合わせて、優しさが前面に出る三井淳志が似合います。
「ピタリ〜」は出会いを求める男が毎日占い師のもとに通う、というので早々に着地点は見えて、その通りに物語が進むという点で意外性はないのだけれど、メトロノーム使う占いというのが、終盤で心の乱れをうまく表現するのに効いていて面白いのです。テーブルで向かい合う二人なのだけれど、上手端に座ってしまったあたしは、場内が大受けした女占い師の表情が見えなくて残念な感じも。
「あこたん」は過剰に大騒ぎ、自分の可愛さアピール、しかも少々頭悪そうという破壊力抜群なキャラクタを造型(曽根原史乃)。痛々しくなりそうなこのキャラクタなのだけれど、教官(椿宏尚)が否応なく巻き込まれていくということでがっつり爆笑編に仕上げます。
「母が〜」は最後を締める、いい話。妊娠していて不安な母親(竹内淑子)が時空を超えて成長した息子(椿宏尚)に会いに来て、自分がどうなのかを訊ねるというフォーマット。息子と母親の年齢が近くなり、息子も母親の考えていること、たとえば怒られるということが振り返ってみて素直に理解出来る感じになるという枠組みか素敵。
全体にテーブルを挟んだ二人というのが多いのだけれど、狭い劇場の割に表情が見えない席があるのは残念。必ずしも対面する二人を横から見せるということにしなくてもいいんじゃないかと思ったりも。します。
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