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2012.11.07

【芝居】「否定されたくてする質問」箱庭円舞曲

2012.11.19:00 [CoRich]

仕事をする人々を描かせたら、アタシはもっとも信用する作家の一人です。初めての再演とか。 11日まで駅前劇場。120分。

マンションを仕事場にシェアしている漫画家たち。週刊誌に連載してる美容師対決ものは原作と作画の二人担当だが、完全に分業していて互いの仕事には口を出さないことになっている。エロマンガの月刊誌にアラサー女子の日常という四コマを連載している作家は担当が変わってからエロもオチもない作品についての締め付けが厳しく悩んでいる。アシスタントもシェアすることになっているが、忙しい週刊連載の方は優秀なアシスタントがほぼ専業になっていて、使い物にならない上に仕事にも熱心でない男はなぜか四コマの漫画家に好意を寄せていてそちらにばかりかまけている
週刊の方はもう数週間も対決の結末を引き延ばしていて、いよいよ話を進めなくてはいけなくなった原作担当だが、妹が夫から逃れてこのマンションに転がり込んできた。四コマの担当編集はこのままでは数週間で打ち切りだと宣告する。

再演とはいいながら初演(アタシは未見)とはほぼ書き換えているとのこと、訊いてみれば初演は(劇中で語られている)別れて出て行った女との話だったと云います。つまり、再演は続編のようにつくってあるようです。どちらにしても、物語の骨子として描かれていることはたぶん変わらない気がします。

作り出せる人が(自分のものとはいえ)アイディアを安易に再利用すること、あるいはそれを見つけるべき編集者が見つけられないことというクリエータとその周辺に対して相当に厳しいことを云う矜持がカッコイイ、あるいはパクリじゃない物語なんてものはそうそう存在しないというもう一つの説得力のある考え方も提示されたりして頭のなかでかき混ぜる感じなのが楽しい。

それにしても、箱庭に寄せるアタシの全幅の信頼はどうなんだろうと思わなくはないのです。芝居に限らずさまざまなクリエーターたちの現場を描く芝居はたくさんあるけれど、その対立軸(今作でいえば編集者)の側の事情ではなくて、双方の矜持(拘る点、と言い換えてもいいかもしれない)をきっちり描くのが実に爽快なのです。これはある種のファンタジーだし、編集と作家のこういう関係がリアルかどうかはアタシには知る由もありませんから、観る人によって印象は変わる気がします。会話劇に見えて、音楽も含めた全体としては実は地味だけれどめいっぱいエンタメなんじゃないか、と思うのです。

正直に言えば、物語全体の枠組みに対して、妹の物語を「フクシマ」に絡めるのは唐突な感じがしないといえば嘘になります。が、作家が福島に生まれ育ったゆえに、忘れられそうになっている今だからこそ描かずにはおれないという切実さを感じてならないのです。。

アラサー女子を演じた片桐はづきのはじけた感じの可愛らしさがすてき。白石廿日はちゃんと認識したのははじめてだけれど、可愛らしい新人かと思えば、(ゆとり、と揶揄されがちな)バランス感覚の欠如っぷりをきっちり紡ぐ強みを感じます。原作者を演じた小野哲史はその向こう側に(この芝居の)作家の姿が見えるようで格好良くて、それを叱る編集を演じた爺隠才蔵もまた、この二人で応酬する会話の凄みなのです。

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