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2012.11.17

【芝居】「震災タクシー」渡辺源四郎商店

2012.11.10 19:30 [CoRich]

くらもちひろゆき、畑澤聖悟、工藤千夏という三人の作家によって物語を作り出すという試みの合同公演。11日までアゴラ。75分。

盛岡から仙台を経ていわきに向かう列車に乗っている作家。突然起きた大きな地震で列車は復旧のめどが立たない。家族の無事は携帯で確認できて、それほど大事になるとは思わず、仕事先に向かうことにする。駅前でタクシーを捕まえ、乗り合わせる人を募って、いわきに向かう。

作家三人による共同執筆の形をとる合同公演。トークショーによれば、公演自体は震災前から企画されていたものだそうで、震災を経て作家のひとり、くらもちひろゆきが体験した震災当日の出来事を元にしながらも、ほぼ片道のロードムービー風に大部分をあて、帰宅してからの家族との姿などを描いて三人の作家が肉付け・書き直しをしながらつくりあげたとのこと。

トークショーでも語られたけれど、東北とひとくくりにされ、確かに被災県ではあるけれど、被災者とはいえない人々の話。深刻な事態(福島第一原発のことなどは実体験ではなくて、近くを通ったな、ということを元にした創作のようですが)を交えながらも、直接の被災じゃないこと、あるいは深刻な事態がまだ起きていることに気づいていないことから、日常を歩んでいたのだということをを淡々と描きます。劇中でも「不謹慎かもしれないけれど」と断りながら、そのちょっとした非日常が楽しかったと振り返るさまは、実際のところ、作家の実感だろうとも思うのです。

アタシ自身も、あの日に同僚の車に乗せてもらって4人乗りで東京に向かう長距離移動を経験しています。地割れやフクイチこそ目撃はしてないし、ラジオやテレビやネットを見ながらの移動でしたからそれほど何も知らないというわけじゃないけれど、それでもあの日はまだ、ここまで後を引く深刻な事態というのはまだ感じていなかった、という点では同じように感じていたと思うのです。 たとえば街が停電で真っ暗になっていたり、たいへんな渋滞になっていたりというアタシの体験に本作は重なって感じられるのです。あのときをどう過ごしていたかによって、受け取る感じはずいぶん違う気がしますが、少なくともアタシにはどこかリーチする人々の姿なのです。

唐突に物語にわりこむ「走る人の姿」としてのメロス、東北だしね、ということのようだし、畑澤聖悟 のはじけっぷり(冒頭の駅員も絶品)は少々卑怯な気はするものの楽しさいっぱい。ただ、確かに唐突な感じではあります。

タクシードライバーを演じた加藤隆が仕事をきっちりこなすプロドライバーの姿をいい味わいで。三上晴佳はいままでどうしても極端に若い役など飛び道具的な役が多かったのだけれど、結婚したい男に言い寄られて普通に困り、普通にいなす、大人の女性の役をきっちり。舞台でこういう大人の役を拝見したのは初めてな気がしますが、下世話な云い方をすれば、実にいいオンナになったなぁと勝手に感慨だったりもするのです。 それに代わって、というわけではないとは思いますが、正体不明な子供を演じた音喜多咲子も大学生なんだけれど、小学生でも中学生でも高校生でもなんとかなっちゃうという役をきっちりと。

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