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2012.11.27

【芝居】「ぱれえど」浮世企画

2012.11.24 14:30 [CoRich]

アタシは劇団としては初めて拝見します。95分。27日までSPACE雑遊。

ドブの臭いがキツい街。他の土地からの男がやっとの思いで開いたバーに街の人々が日々集う。飲食店を始め手広くやっている「社長」、芸人崩れで働いている男、女の子を口説こうとしている金持ちのサラリーマン、飲み屋のママ。バーの片隅で静かに地味に飲んでいる男も常連だが、この土地で大きな事故を起こし、世間の非難を浴びたた企業を辞めて隠れるように生きている。
バーのマスターは弱みを握られ、隠れて生きている男はその正体を知られ執拗になじられるようになり。

原発というわけではないけれど、社会的に非難される大きな事故、彼一人のせいではないのに、背負った気持ちの男、(その企業ではなく)叩きやすい個人を執拗に叩きのめす正義感。あるいは人の弱みにつけ込んで少しでも這い上がろうとする男。はたまた金はあるから女だって自由になると思うのにそのつまづきが簡単に転落人生に向かってしまったり。人生、どこでけつまずくかわからないし、足を引っ張られるかわからないし、時間切れにだってなっちゃう。これでもかとてんこ盛り。

好意を寄せてくれるバーのママは残りの時間といったものに焦り、若い警官は(過去のトラウマはあるにせよ)万能感すらある、キラキラした将来を信じられる感じの対比は、物語そのものの中心ではないけれど、不思議な対比。

ほぼ全員が何かの闇を抱えていて、表面上は軽く、明るく過ごしているのに些細なきっかけで堰を切ったように暴発する感情。それは時に疾患となり、時に暴力となり、時に犯罪として表出していきます。正直にいえば、その些細なきっかけの豹変が、唐突な印象はあります。なにか鬱屈した物を抱えていると捉えられないわけではないし、人なんてものはそれぐらいだれでも些細なことで豹変するのだといえばそうなのだろうけれど、ここは踏ん張って納得出来る感じを強く印象づけてほしいところ。

地獄人、なる謎めいた役が設定されています。深くどうにもならない罪悪感を抱えたものだけに見えるといい、人々を描けば描くだけ深刻な深みにはまりこんでいく物語の中で、「バカンスに来た」という軽薄な感じが全体を軽やかにします。演じた鈴木アメリは、バイオリンの生演奏だってちゃんとしていて不思議な祝祭感をつくりだします。罪悪感に苛まれる中年の男を演じた鈴木歩巳、こういうクタビレた役をやらせると親近感、しかし苦い味わいがしっかり。マスターを演じた川本裕之もまた、明るく人好きする感じなのに、罪悪感なく悪いことやっちゃう、という感じが気持ち悪くて印象的。

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