【芝居】「行方不明」ブラジル
2012.11.23 14:00 [CoRich]
ブラジルの新作、110分。25日までRED/THEATER。
妊娠する妻のため、ブラックな編集プロダクションで理不尽な仕打ちを受けながらも懸命に働く男。しかしその理不尽さにキレて会社を辞めて帰宅すると妻は若い男と浮気の最中で、妻は悪びれるでもなく、離婚を切り出しおなかの中の子供はこの浮気相手の子供なのだという。それまで何回も電話を受けていながらも、遠く離れていて会うこともなかった親友のことを思い出して、会いに行くが、もう何日も前から行方不明なのだと親友の妻が告げる。この街では何人もの人間が姿をくらまし、そして体の一部分だけが発見されているが、警察も何一つ手がかりがつかめない。その親友を捜しているのは、地元で喫茶店を営む男もまた、行方を探していて。
コメディのような始まり方をして、所々に笑いを挟みながらも、徐々に「人間が何人も消えている」というサスペンスのような味わいに。終幕に至り、人ならぬもの、といった具合にホラーの様相を呈しますが、実際のところその物語の驚き、という感じではありません。アタシにはどちらかというと、人と暮らしていくこと、生活を営むと云うこと、あるいは忘れられない人のことを「まっとうに」描いているのだと感じられます 愛してしまったのだから、相手が誰だったとしても、それがどんなに悲しく(少し怖い)ことだったとしても、愛する気持ちを貫かずにおられないということを実にまっすぐと
幸田尚子が、美しい妻、少し妖艶さを漂わせた女の二役。美しさゆえに男が逃れられないということに十分な説得力。若狭勝也は女がなびく優男、というのを新婚最初にくんずほぐれつの役というのも知り尽くされた役者ゆえという気がして楽しくて。櫻井智也は軽口を叩き翻弄されつつも、親友を探しづけるまっすぐさが実は良くて。 編集長を演じた哲人は完全にヒールだけれど、その嫌さ加減が凄い。
正直に言うと、少々登場人物が多く、そのわりには二役を担っていたりもしていて、その役者たちが小劇場的にはオールスターキャストといっていいほど贅沢な布陣だというのは少々もったいない気がしないでもありません。
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