【芝居】「世界を終えるための、アイ」タカハ劇団
2012.11.17 18:00 {CoRich]
板倉チヒロの一人芝居。1月に予定されている本公演との連作企画。35分。19日までエビス駅前バー。
膨大な知識をもとに何が美しいかを判定し、人々を導く機械。人々は端末でこの機械からの提案を受けて行動を決めている。何の不安もないままに日常はすぎている。ある日、端末への一斉アップデートが実行される。
デザインされたスーツ姿で現れた板倉チヒロは、「美しいものを判定するコンピュータ」と「その端末を使って行動し、結婚当日を迎えた男」の二人を演じ分けます。中央のマザーコンピュータで行動原理を決め、スマホのような端末で人々が行動する、という少々ダークめいたSF風味。テーブルの上に置かれたオセロゲームはまるでデジタルの0と1を表すかのように、象徴的に使われます。
笑いにつながる部分はほとんど使わず、コンピュータの部分はひたすらクールに、男の部分はもう少し軽いけれど一途さで。人間が完全に端末に頼り切っているというのは、確かにダークな感じ(一斉のアップデートを無邪気に受け入れると翌日からは新しい行動原理にすりかわる、というあたりは特に)ではあるのだけれど、作家はそのダークさを根底に描きながらも、ひたすら一途に美しさを追い求め続けたコンピュータの姿とその退場の姿を丁寧に描くのです。それでも「残ったタスク」として美しい音の追求を続ける姿は自閉しているとも言えるけれど、気高さすら感じさせるのです。
この語り口に入り口の時点で入り込めるかどうかで印象はずいぶん違ってしまう気はします。がっつりSFのような語り口は今までの作家の雰囲気とはずいぶん異なります。脚本で参加しているアニメにどこか雰囲気が似ている気もします。
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