【芝居】「朝にならない」チタキヨ
2012.11.25 16:00 [CoRich]
三人の女優によるユニット。トリコ劇場の米内山陽子の作演で70分。25日まで歌舞伎町のバー、ATTIC。
貸し切りにされたダイニングバー。この店のオーナーの婚約者と名乗る女は、オーナーでありテレビで売れっこになりつつある婚約者ことセンセイと関係のある女たちを集め、センセイに内緒で集めてほしいという女からの依頼。その関係を絶たせたいと考えているのだった。センセイと同じ事務所のタレントがその誘いに応じてやってきて、店の雇われ店長と話しているところに、その婚約者が現れた。
一人の男をめぐる女たち。一人は婚約者と名乗り上から目線、一人は腐れ縁ほどに長いつきあいの雇われ店長、一人は色気が売りだけの(いや衣装がホントに胸元釘付けなアタシですが)しかし売れたい一心の女。罵りあいながら、それぞれの事情や想い、生き様が徐々に浮かび上がります。主婦をニートと呼んでみたり、年齢という賞味期限を強烈に意識させたりと、女性の作家は30過ぎの女たちをサンプリングしながら、おそらくは意識的に(罵りあいだから)女たちを挑発するような言葉をちりばめます。
あるいは、それぞれの一人語りでその背景を語らせながら、年令がある程度進んだ女のかなしさや背負ってるものの切実さをじっくり、じんわりとあぶり出していくのも作家の確かなちから。
60分という尺と、医者という道具立て、キャラクタの造型からなんとなく精神を病んでいるのだというのはわりと早い段階で見えてしまう気はします。が、それがオチというわけではなくて、そこからどこか友達のような不思議な連帯感を持つ人々という着地点は、青春ドラマのような、というとちょっと違いますが、爽快感すら感じてしまうのです。
雇われ店長を演じた田中千佳子は、もう振り向いてくれないのだという諦めもありつつも、よりそう女を好演。たとえば「コーラだよぉ」という腹立たしいほどの挑発など、大人の女の喧嘩の仕方がやけに印象的だったりします。 タレントを演じた高橋恭子は若さだけがウリだった女の苦悩を通して、女の賞味期限というものを印象的に造型します。衣装の凄さも。 婚約者を演じた中村貴子は、ロハスだったり健康志向だったりというこれもまた女っぽさの体現。
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