【芝居】「完全版・人間失格」DULL-COLORED POP
2012.11.4 14:00 {CoRich]
よく考えてみれば、アタシ「人間失格」ちゃんと読んだことないままでした。7日まで青山円形劇場。120分。
恥ずかしい話ですが、実はアタシ、人間失格を読まずに人生ここまで来てしまいました。予習もせずに臨んでみれば、面白さにあふれる枠組みだとおもってわくわくと観たのだけれど、青空文庫で流し読んでみれば、たとえば作家が訊いて回ったのだということなど枠組みの面白さ自体も原作にあるのだとういうことに驚きます。
青山円形劇場という場所では数多くの芝居を見てきたけれど、おそらくどこから観ても対等な感じで見られるというものはそう多くはありません。完全円形を前提に作られたMOTHERのジャンキースクエアやプラシーボデパートや、長年かけて熟成してきたア・ラ・カルトは別格ですが、はじめての演出で、円形という場所を熟知しているかのように使いこなす演出に唸ります。セットを作り込まず、舞台上から落とすもの、持ち込む物をばらに舞台の上に「散らかす」ことも巧く働いている気がします。
それにしても、女にモテるという葉蔵のキャラクタ故か、女優たちがそれぞれの女たちを演じるシーンの眼福といったらないのです。このシーンの音楽がことごとくバブルな時代の雰囲気の音楽だというのも面白い。商売女を演じた堀川炎の匂い立ちからみつくような色気、あるいは川村沙也のワンピース姿に見える無垢な感じをはじめとして女優たちのそれぞれのシーンは脳味噌が喜んでいるのを感じます。とりわけ、丸の内の女(つまりはOL風のシャツと黒いタイトスカート)を演じた堀奈津美はYシャツ姿といい、スカート姿といい、圧巻の破壊力、ましや肘をたてて寝ころぶなど、(アタシにとっては)致死量に至ります。
アタシが観た女性版は葉蔵をフリーになったコロと塚越健一が演じています。コロという役者の男っぽく見える格好良さ(序盤で父親が買ってこようとするおみやげがサッカーにまつわるものというのも気が利いています)もさることながら、笑い顔がどこかぎこちなく仮面のような笑顔というある種の堅さの説得力が凄いのです(本当の彼女がどうなのかは知る由もありませんが)
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