【芝居】「中也論 よごれたかなしみ」趣向
2012.9.29 19:30 [CoRich]
中原中也を描く100分。30日までSTスポット。
長男を亡くした中原中也。療養所を出て、友人・小林秀雄のすむ鎌倉にすむようになるが、最近は少し距離を置いている。友人・青山二郎が訪ねてきて、詩人をやめるように言う。
STスポットにシンプルながら、しっかりとセットを作り込み、和の空間での人々の物語。やむにやまれず、詩を紡ぐことでしか生きていけない男。友人たちが、元の恋人が距離を置くようになり、孤独だけれどそうしていくしかない芸術家という人種。妻は寄り添い続けているのに、その気持ちには応えていないということ。不器用さ、といってしまえばそうなのだけれど、荒くれるナイフの切っ先のように、友人たちをも傷つけたり、距離を置かれてしまう結果を生むということに気づけないということ。そんな人々の風景を切りとります。
それは妻から、あるいは元の恋人からといった女たちの語り口。問題だらけなのだけれど、それに惹かれてしまう気持ち。女性だから、ということだけではないだろうけれど、作家が愛情を注いで主役を描いているように思えるのです。
戸谷絵里は幼さを感じさせる書生を演じます。これがけっこうハマル感じ。いくつかの回想の場面で中原中也や小林秀雄を演じるというのはちょっとわかりにくい感じも。 中原中也を演じた小栗剛は、こういう不器用さが似合います。妻を演じた大川翔子は普段見せる軽やかさとは別の一途にフラットな想いの新たな魅力。
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