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2012.07.31

速報→「黛(まゆずみ)さん、現る!」ナカゴー

2012.7.28 15:00 [CoRich]

ナカゴーの新作。30日まで王子小劇場。100分。

高校の同級生・カツミショウコが心配だからと、久々に待ち合わせて会いに行く女たち。あのころはずいぶん変わっていたけれど、久々にあってみれば、そう悪くはないみたい。知らなかったけれど、劇団で女優やっていたみたい。問題だと思っていたことは既に解決していて、安堵したところに、サプライズのもう一人の客が。びっくりして喜んだりもしたけれど、ふとしたきっかけで、カツミショウコは昔のことを思い出して。

物語は書き出してみれば、こういう感じなのだけれど、実際のところ、物語そのものは、そう大したものではありません。久しぶりの友達のこと、心配すること、近況の報告、びっくりすること、知らなかったこと。日常を切り取るように点描していきます。中盤で大笑わせな感じの最後の一人が登場すると、物語はわりとどうでもよくなって、わちゃわちゃした感じになります。終盤に至り、切っ掛けからの不安定、更に大立ち回りのように暴れ回ります。正直にいえば、病んだというか、ベクトルがなぜか一つになってしまった集団の中で、ひとり抗うことの怖さということを感じさせる展開なのだけれど、そこで物語がそれに対して何かを云うわけではないし、そのシーンがやけに長くリピートすることで、多数派がなぜそこに拘泥するのかが、(長さ故に)説得力を失う感がありあす。あるいは、作家自身が役者たちには興味があっても、物語に興味がないのではないか、とも感じてしまうのです。

甘粕阿紗子は可愛らしさ、露出の多さの眼福、所々で見せるフテ顔(最後の女の登場から、陰でずっとしている)や、ブサイクな表情など、あれこれ楽しく。墨井鯨子は終盤での圧巻、そこに至るまでにある種めんどくさい感じをきちんと作り上げるので、終盤で彼女の立ち位置が変わらない、自己を信用する強さの説得力を生みます。菊池明明は、はちゃめちゃで居続けなければいけないという意味では難しい役ですが、すらりとしてむしろ宝塚の男役のような雰囲気がこの嘘っぽい世界をそれでいいと思わせるのです。

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