速報→「リ・メンバー」ジェットラグ
2012.7.15 19:00 [CoRich]
去年3月ゲネ直前の震災によって上演延期となった公演が再集結。125分。17日までシアターサンモール。
プロゴルファーと女優の夫婦。妻の留守の隙に愛人を家に連れ込んだものの、妻は旅行に出かけず帰宅してしまう。妻の旅行相手は若い男で彼も家に来てしまう。家政婦の女が両方の嘘がばれないように立ち回るが、浮気相手の夫と名乗る男が現れ、スキャンダルを表沙汰にしてほしくなければ誓約書にサインをするように迫られ、サインをしてしまう。
これは一年がかりで仕込まれた詐欺グループの仕業だった。数年前に一度集まったものの失敗し、解散してしまったグループが、メンバーの女が結婚を機に引退するために、昔の仲間でもう一度成功させたいと考えて集結させたのだ。が、妻が夫を刺殺してしまうという予想外の事態に、詐欺で表沙汰にならないはずだった金は一転、殺人事件に絡んだ金になってしまい、動揺が広がる。
一度は解散したメンバーが再び集結するという意味では、座組の人々にとっても微妙に重なる想い。ちょっと特別な意味が出てしまった感もある一本。前半はシチュエーションコメディっぽく、入れ替わり立ち替わりの話。後半は一転して詐欺を主体にしたコン・ゲームっぽく物語が変化し、そこから更に友情や想いといったものに物語は着地します。
正直に云うとアタシは今一つノレなかった感があります。シチュエーションコメディとコンゲームと人々の想いというハイブリッドな構成の目指しているものは理解できるものの、この座組ならコメディーはもっと爆笑編を期待してしまうし、コンゲームを描くこの作演ならもっとキレを期待してしまうけれど、アタシにとっては今一つ不発な感があります。 たとえばコメディーでの移動するドアとクローゼットを扉一つの裏表というのは結果的にスピードを殺いでいてしまってもったいない(マネージャーの登場シーンで自ら押してくるってのはちょっとおもしろい)気もしますし、詐欺当日の前日譚と直後の話の前後関係が最初に見えづらいのも惜しい。 もっとも、日頃わりと手厳しい人も含めてアタシの友人たちはそれなりに楽しんだとも聞くので、まあ、アタシの虫の居所だけの問題かもしれません。
鈴木歩己演じるゴルファーの怪しく女好きな感じとその奥の実直さ、妻を演じた佐々木なふみの開き直った余裕しゃくしゃくな感じ、弁護士を演じた永山智啓もまた怪しさと妙な余裕が印象に残ります。須貝英演じたマネージャーの実直で用意周到な感じも説得力。清水那保を舞台で拝見するのはずいぶん久しぶりな感じもしますが、衣装も含めて(笑)、戻ってきたことを素直に喜びたいところ。浮気相手の女を演じた映美くららは確かになびいてしまいそうな説得力。
小劇場の人気のある役者で脇を固めつつも、ジャニーズ系、宝塚系、仮面ライダー系という若い役者たちを主に据えた商業演劇的なキャスティングを小劇場っぽい公演形態でというのが主催するジェットラグの一つの特徴ですし、こういうクロスオーバーが生み出す人の繋がりは結果的にはきっと意味のあることなのでしょう。が、たとえば土日夜に設定された役者全員のトークショーでことさらに特定の役者を持ち上げるように見えてしまったり、バラエティ番組の雛壇よろしく楽屋で話せばいいような話題を、これまた意味不明なMCを芸人(彼女には何の罪もないけれど)が勤めるというのは、まあマスコミっぽいといえばそうだけれど、主催者の目指すもののがなぁ。
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