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2012.07.23

速報→「少女教育」シンクロ少女

2012.7.21 14:00 [CoRich]

23日まで王子小劇場。115分。

妊娠した女子高生、結婚して産みたいと意志を告げた男は、11年つきあった別の女と別れることができず、結局逃げ出してしまう。
女は教師となってから再会した妻子ある恩師に時折逢っている。愚痴を吐き出したり、慰めて貰うことに心地よさを感じている。女はわりと男と軽く寝たりするような女だったが、部屋を頻繁に訪れる男気溢れるまっすぐな男とはどうしてもつきあう気になれなかった。 同じ名前の女、小説家になりたいと思っているがまだ芽が出ない。同じサークルで最近頻繁に部屋を訪れる男もまた小説家志望で、兄と住んでいるがその束縛に嫌気がさしている。男は女に言い寄るが、まだ男とつきあったことがなくて、どうしていいか戸惑っている。

舞台に三カ所の場所を設定。タオ、という同じ名を持つ二人の女性の軸に進む物語。一人は男と縁がなく、ひとりは男と軽く寝てしまうという対照的な二人。どちらも「一番好きな人は居なくなってしまう」という母親の口癖で育ったのに、男との恋愛の関わり方を両極端に描くことで、「同じ育ち方」のはずなのに、些細な違いでどちらにもなってしまうのだ、ということをシンメトリに描きます。

兄弟、あるいは同性同士の憧れ、愚痴を言い合う関係、親子、年下の同性を守りたいと思う気持ち。メインのカップルたちだけではなくて、いろんな種類の「愛」を細かに織り込んでいくのは濃密で奥行きを感じます。結果的に、いままでのシンクロ少女より、刺激という点では抑えめなのだけれど、その分、作家のもつ愛情とか想いに対するシンプルで純粋な部分が見えるようになった気がします。

正直にいえば、左右に別れた二人のタオは、どちらかといえば内側に居て、舞台の両端を向いた芝居が多くて、表情が見える席が少ないのがちょっと残念といえば残念。

タオを演じた松本みゆきは、美しくしかしどこか達観したような感じ。とはいえ、アタシの席からは前述のように表情が見えづらく残念。もう一人のタオを演じた名嘉友美は、少々メンドクサく複雑に考えすぎて恋愛に踏み込まない女、一転恋の甘露に落ちたかわいらしさ。「弱くなった気がする」という台詞もとても気が利いていて印象に残ります。 少々荒っぽいけれどまっすぐな男を演じた中田麦平は、ありそうで意外に少ない今どきな造型が成功していて、魅力的です。11年連れ添ったという37歳を演じた木村キリコは、実年齢よりはずいぶん上じゃないかと思うのだけれど、寂しさと力強さをを併せ持つ奥行きの深さが感じられて魅力的。

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