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2012.07.15

速報→「天日坊」まつもと大歌舞伎

2012.7.12 18:00 [CoRich]

東京ではコクーン歌舞伎として演じられた演目を松竹制作として、まつもと市民芸術館・主ホールでの一週間の公演。210分。18日まで。ロビーまではチケットが無くても入れる縁日横町や大道芸のイベント。15日午前には松本の登城行列、ふれあい座という街中の練り歩きが予定されています。

帝の飼い猫に憑りついていた化け猫を退治した北条時貞は傾城・高窓太夫を身請けし、と修験者・観音院は三百両を褒美として受け取る。帰宅後の酒盛りの最中、飛び込んできた巡礼姿の娘と懇ろになろうと観音院は弟子・法策らを追い出すが、娘は女盗賊・人丸お六で三百両を目当てに殺されてしまう。追い出された法策は飯炊きのお三婆さんの家で、お三の娘が頼朝公の子を産んだもののすぐに母子ともに死んでしまったこと、その落胤の印があることを知る。同じ年であることも知る法策は、お三を殺して、頼朝公の落胤になりすますことにする。逃げる途中で法策の身代わりとして殺した旅人が高窓太夫の弟で、金の無心にやってきたことを知る。

歌舞伎を観るのはずいぶん久しぶりです。宮藤官九郎の台詞は現代の若者たちの言葉に。数少ないチャンスが来ればのし上がろうと考え、実行して、更に罪を重ねていくという感覚は一回りして今の私たちの感覚に近くなった気がします。

串田和美による演出は、シンプルに動き回る小さな舞台を縦横に組み合わせながら進みます。まつもとでは市民キャストを加え、トランペットを使う演出を少し変えているようです。

あたしが好きなのは、船の上でのあれこれの人情から海に飛び込み古寺のあたりのシーン。古寺で大声でガサツにやってみたり、おまえは誰だ、オレだというあたりのオカシさが楽しくて、少しばかり芝居の根幹を感じさせたりします。あるいは終幕近く、詮議の場での 台詞をあえてカブらせて、余地を残さないことの緊迫感。これ、タイミングがそうとう難しい気がしますが、オフビートになったり、リズムに乗ったり、崩したりという感じがまたちょっとカッコいいのです。

コクーン歌舞伎としては次世代の役者を主に据えているようです。 六代目の勘九郎は遠目にみれば声や発声が似ていることもあって、仙台かとみまごうばかり。しっかりきちんと演じきるのです。何者でもない男がどんどん豹変していくことの怖さやその気持ちを細やかに描くのです。
七之助はまあ、びっくりするぐらいに可愛らしく登場し、そこからびっくりの女盗賊への豹変の格好良さ、終幕での立ち回りが本当に美しくていつまでも観ていたいのです。現代の若者っぽい微妙なガサツさというのもまた落差で可愛らしく。
観音院を演じた真那胡敬二はその強欲さが人間らしくほほえましい。 久助を演じた白井晃、のんびりした感じの前半、終幕近くでの詮議の場の緊迫感をしっかり。中村獅童は地雷太郎のまっすぐで少しばかりガサツな感じが

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