速報→「錯惑の機序、或いはn質点系の自由度 The Slight Light Like Sleight of Hand.」まごころ18番勝負
2012.7.8 [CoRich]
アタシは初見です。本格ミステリを謳う110分。8日まで王子小劇場。
船でしか訪れられない離島。かつて脱出マジックの事故で表舞台から姿を消したマジシャンが復活をかけて招待客の前に現れ、脱出・移動のマジックを披露しようとするが、それは失敗し、首が落とされた死体が発見される。台風が近づく中、警察もやってこられない中、これは事故ではなく殺されたのではないかとということになる。アシスタントの一人はかつての事故で死亡したアシスタントの妹であるために疑われ、この部屋に一人軟禁されるが、翌朝死体で発見される。
二回の殺人、更に過去の事故で死んだ一人を加えて三人の死にまつわる物語。ミステリとしての出来がいいのかどうか、あまりこの分野明るくないのでわからないけれど、コミカルな部分はほとんどなくても、きっちり見せ続ける力があります。
もっとも、整形だの双子だのを持ち出して、最初に死んだのは誰で、それはどうして起こったのかということを終盤にいたってかき混ぜるような感じなのは、動機の複雑さを描く為に必要なのだとは思いつつも、じっさいのところ、文字を読み直すことの出来ない舞台では混乱するばかり。そのわりに物語に強い力を与えるわけでもなく、終幕に至って持ち出しても、すっきりした感じがしないのはもったいない感じがします。
劇中の舞台と客席、私たちからは劇中の客席が見えづらいのは、実際のところ台詞さえ聞こえれば大きな問題ではないのだけれど、見えないというだけでストレスを感じてしまうのが観客というものなので、ちょっとばかり残念。もっとも舞台に角度をつけて斜めから見せるようにしたりしないのは、舞台の上で起こるマジックを誠実に見せようとする作演の真面目さとも感じるのです。
千秋楽では役者の紹介がありました。この手の芝居で当日パンフに役名との対比で書けないのも誠実さと思いますが、まあ、観客は誰がどの役かは知りたい気もします。 ゲストのマジシャンを演じた大久保藍子は声の独特さと見惚れる美しさで人前にでる仕事という説得力。探偵を演じた川原元幸、医者を演じた榊原仁はしっかりと物語を転がす力。所長を演じたゆきをは、主宰ゆえのちょっとオイしすぎる役という感はあれども、飴を舐め続けながらユルい口調で鋭いことを云うというのは探偵らしくていい雰囲気です。
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