速報→「涼~すずみ~水」BoroBon企画+あやめ十八番
2012.7.16 13:00 [CoRich]
水下きよしのユニット、BoroBon企画に、先日旗揚げのayame十八番。19日まで絵空箱。80分+休憩15分+55分で計160分ほど。
恋人に消費者金融のカードが見つかり責め立てられる男が話したのは、ちょっとややこしくて嫌な気分になる話だった。久しぶりに電話してきた元カノはやたらにポジティブに変わっていて妙だった。家に押し掛けてきて泊めてくれといい、一夜を伴にする。女は大学もやめてしまったが、資金を貯めて一年で映画を撮るのだと夢を語る「Love Portion #9」(あやめ十八番 作・演出 堀越涼)
列車に乗り旅をする夫婦がボックスシートに座っている。とりとめのない話、やがて若い女も席にやってきて「阿房列車」(BoroBon 作 平田オリザ 演出 水下きよし)
「Love〜」は堀越涼の一人語りの体裁で自分の過去の話だと語りつつ、久しぶりに電話してきた女から始まるのは現代のちょっと怖い世話物っぽい仕上がり。怖いほどポジティブな彼女の秘密は、「Love Portion #9」なる秘密めいた薬にまつわる「権利収入」の道への誘い。いわば友人との関係を金に変えるというネットワークビジネスと即効性のある謎の媚薬、あるいは美人の女ってものに対する男の脆さという怖い話をリアリティたっぷりに描くのにはぐいぐいと引き込まれて面白いのです。 あくまで現代劇なのだけれど、どこか世話物というか歌舞伎めいたものを感じるのがおもしろい。もうこのまま大学の入学オリエンテーションで上演したらいいんじゃないかと思うぐらいに、今どきの若者がハマりそうなさまざまが濃密に描き込まれているのです。
何度も上演されている「阿房列車」ですが、アタシは初めて拝見します。取り留めがないというか脈略がなくてとびまわる夫婦の会話。日常ではなく、かといって大イベントというわけでもない、ちょっと離れた娘の婚家に出かけるという、日常から少しだけ浮き上がったシチュエーションで、しかしずっと一緒にいるしかなくて、でも車窓がそう珍しいわけではないという飽きがきているシチュエーションに、新たに出会ったなぞめいた若い女との会話というのが実にいいのです。もっとも「写真の現像」なんて言葉にちょっと時代を感じなくはありませんが、それもまた味。じっさいのところ、何か物語が進んだかとか、登場人物たちに何か成長があるのかとかいう意味ではもう全く何もなくて、平田オリザの芝居によく挟まる何気ない会話で全編になったとでもいいましょうか。
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