速報→「ドコカ遠クノ、ソレヨリ向コウ 或いは、泡ニナル、風景」マームとジプシー
2012.6.24 13:00 [CoRich]
4年ぶりの再演、アタシは初見です。24日までPRUNUS HALL。105分。
いつもの朝の筈だった。同棲している彼が珍しく優しく見送ってくれた女、兄に送られて出かける妹、結婚式に行く三人の女、徹夜で呑んで電車を何本も見送った男、それぞれが乗った朝の駅の風景、乗った電車は事故にあい。
終演後のトークショーでは初演ではもう少し電車の車内という装置を作り込んでいたものをフラットなフロアを区切っただけにしたり、走るシーンを新たに作り込んだりしているようです。
前半はその朝の風景、それぞれの人々の過ごした風景を淡々と、というよりは繰り返しを多用し、行きつ戻りつしながら描きます。事故までの車内の様子までも。 後半は、事故から絶命するまでの間に彼らが思ったことをある種の走馬燈の記憶だったり、反射的な行動だったりを描きます。
同棲しているカップルの朝の風景の底にあるものが描かれる前の日の晩の会話だったり(これは彼氏の視点か)、幼なじみの三人の女の中学生や幼い頃の他愛ない喧嘩、あるいは惚けてしまって姿を消すことになった飼い猫の話だったりと、繰り返しを使わず、丁寧に描き出します。繰り返しというのがどうにも苦手なアタシでも、本作は食い入るように見続けてしまうけれど、まあ苦手には変わりなくて、繰り返しのない、きちんと会話になっている後半ののいくつかのシーンこそがおもしろいよな、と思うのです。
とくに幼ない三人の他愛ない喧嘩、お腹空いてゴハン食べたいという友達に向かって帰りたくない一心で投げつける容赦ない言葉からの大泣き、というあたりの流れが、コミカルだし、なんか心に残るシーンで、なぜかあったし、ちょっと涙したりもするのです。
繰り返しのリズムの中で、観客の想像力に期待しているとか、自分たちの演劇ってものがこうなのだとうのは確かにMC(Master of Ceremony)ですが、観客対しての親切というよりは、自己主張っぽさが前面に出る感。若い作家の4年も前の作ならば、こういうガツガツした感じもまた彼ららしさがでています。もっとも、4年前もこの台詞だったのかどうかは知る由もありませんが。
わりとハードに走ったり、まるでエアロビクスかと思うほどの運動量(そういう意味では消耗する肉体、という意味での東京デスロック的な気もします)。ダンスというよりは、走ることを表現しようとしているようだけれど、わりとシンプルなステップで、ワークショップというかどこかのフィットネススタジオでやってるなら毎週でも通ってしまいそう。
終演後に設定されたトークショーは作演の藤田貴大と同学年で、初演にも出ていた3名の女優という構成。召田実子、成田亜佑美、伊野香織。あのころの印象だったりどうしようとしていたか、というどちらかというと同窓会的回顧な和気藹々。まあ、グダグタといえばそうなんですが、人となりが垣間見えた感じではあって、嬉しいのです。
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