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2012.06.04

速報→「憧れと衝動」デフロスターズ

2012.6.2 19:30 [CoRich]

アタシは劇団本公演初見です。3日まで高田馬場ラビネスト。

宮崎に戻っていた女が東京に戻ってきた。同郷の女友達二人が出迎える。恋人と住んでいる女、テレビ局で働いている女。それぞれいったんは逃げて再び、という30歳たち。

わりとアタシが好きな、30歳前後の女三人芝居、という体裁。 芝居を再び始めるために上京した女、が、とりあえず暮らすために始めたアルバイト、店員との関係など、なるほど「流されてしまう」女を描いたり、あるいは テレビ局の女、キャリアの中断ということの悔しさ、引き上げてくれる(理由はすごくわかりやすい)若い上司、厳しいことをいう上司の中での奮闘を描いたり。 あるいは、恋人と住んでいる女、息が詰まりそうな部屋、でも結婚したいという強い気持ちという女を描いたり。結婚と仕事と流される日常と、三者三様のお年頃な話題を骨格にし、それぞれの物語として描きつつ、彼女たちが集まるのはその報告会のような体裁。悩んでいる壁は違っていて、言い争いになったりもするけれど、人生が変わってしまっていても今までもこれからも、ずっと友達だという感覚、作家は男なのに女性っぽい視点がアタシには楽しい。

再び上京してきた女を演じた大川翔子は、可愛らしく、不器用さ、流される感じの説得力。テレビ局で働く女を演じた板倉美智子は頑張るけれど報われない女、背が小さいということもこの役に対してはプラスに働きます。同棲している女を演じた異儀田夏葉は、幸せになりたい感を前面に出しつつも、友達を守る、親を守るという脚本の台詞が、実にかっこよく決まるのです。こういう女三人の会話を違和感なく描ける男の作家の視点というのもまた楽しい。

同棲している男を演じた佐藤達、神経質という役はあまりはまらないと思いつつも、時にコミカルに、ときに怖くきっちりと。ディレクターを演じた、とまちべゆうこは恐らく初めて拝見しましたが、優しさと手のひら返しのギャップのダイナミックレンジ(落差)がすごい。飲み屋の店長を演じた根津茂尚、あごひげが決まるかっこよさ、プロデューサーを演じた犬塚征男の格好いいちょっと怖い先輩というのはステロタイプと云えばそうだけれど、実によくこの物語にハマります。 格好良さ。

そうなんです、全体に誰もがかっこよく描かれるのです。女性たちにしてっも男たちにしても、それが恋愛に繋がらない場面なのに、じつにみんながそれぞれにカッコいい(が、スタイリッシュではない。つまり昭和な感じすら漂うかっこよさ)が、アタシの気持ちにも沁みるのです。

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