速報→「シレンとラギ」新感線
2012.6.23 18:00 [CoRich]
大阪のあと、青山劇場で7月2日まで。200分(休憩20分込み)。
北の王国と南の王国、北の王国が隆盛を極めるきっかけとなったのは、20年前に南の国王・ゴダイ(高橋克美)を秘密裏に毒殺したシレン(永作博美)の働きによるものだった。北の国王の暗殺を企てる者が後を絶たず、守っているのはサムライと呼ばれる男たち。なかでも凄腕のキョウゴク(古田新太)だった。が、20年経った今になって、ゴダイが復活しているという。再び送り込まれることになったのはシレンと、キョウゴクの息子・ラギ(藤原竜也)だった。
親殺し、近親相姦というわりとドロドロした物語を骨組みに。しかし、新感線らしく、劇団の役者たちにそれぞれきっちり見せ場を用意したり、コミカルなシーンもきちんと織り込みつつの長丁場をきっちり見せます。なるほど、いのうえ「歌舞伎」と銘打つだけのクオリティ(と長さも)が健在。まあ、客席飲食禁止で歌舞伎と云われてもね、と思ってしまうのだけど、まあ仕方ないところ。
広い意味で愛情という欲望に忠実であることや、それに臆病であること、不器用だったりということを描きます。実際のところ、物語は地味だという気もします。 が、いのうえひでのりという作家の描く世界、現実や既存の物語の世界をなぞるということではなくて、作家が創った「こういう世界で起きていること」という世界に引き込む力は相変わらず強力です。よく考えれば構図としてはスカスカなのだけれど、そういう人々が居る世界ということの説得力は役者による力ということも大きいのでしょう。
永作博美の実年齢ははわからないけれど、母親というにはあまりに若く見えてしまうけれど、それゆえに生まれた物語という意味で物語の柱。後半にある、悪夢のようなシーンは圧巻。ラギという若者を演じた藤原竜也もまた、どうしても子供に見えてしまうというのもキャスティングの妙。教祖でもあり国王でもあるゴダイを演じた高橋克実が実に格好良くしかも迫力。頭の弱そうな北の国王を演じた三宅弘城が後半で見せるアクション、忠実なる部下を演じる北村有起哉の実直さへの説得力。
久しぶりに見ても古田新太の格好良さはもちろん健在、橋本じゅん演じる昔の仲間というのは、ほぼ唯一、物語の骨格といわゆる賑やかしの橋渡しをする役で、分離しかねない二つの世界をつなぎ留めます。
新感線といえば派手な演出、大音響でありながら、隅々まで気を配った演出という印象です。たとえばこの規模になると省略されがちな配役表の折り込みなどもしっかり続けています。
が、たまたま下手端前方に座ってしまったアタシの違和感は、音の悪さというか、台詞の聞こえなさ加減。もちろんマイクにスピーカーですから、役者のせいではありません。スピーカーとか音響のセッティングということだろうと想像するのですが、開幕して一ヶ月近く経った公演で、台詞として言葉として聞き取りづらいということが、よもやこの規模のこの価格の劇場で起こるとは思いませんから戸惑うのです。(個人的に老いただけ、かもしれませんが(泣))
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