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2012.05.23

速報→「容疑者χの献身」キャラメルボックス

2012.5.20 14:00 [CoRich]

キャラメルボックス、2009年初演作の再演。主役の★が替わったことで今までとは別の人物造形が楽しい135分。6月3日までまでサンシャイン劇場。そのあと大阪を経て、もういちど東京(シアター1010)公演あり。 初演時にもあった、劇中のインスタントコーヒーが終演後に(有料ながら)飲めるというあたりも(ホスピタリティとして)楽しい。

毎度のことながら、見た芝居をblogにあげたら綺麗さっぱり忘れてしまうアタシです。弁当屋、数学者の対峙、ふたりのギャップということぐらいは覚えていても、流れをすっかり忘れていました。

初演の時もだいぶ泣いた気がしますが、今作での近江谷太朗の造形は初演の西川浩幸とはずいぶん印象が違います。数学を信じて迷いがない、という雰囲気だった初演とは一新していて、むしろ衰えていく自分の現実の姿と、紙・鉛筆や頭の中で続けていけることのギャップを印象づけていきます。たとえば大学勤めとは違って、自分一人で(研究の)旅を続けなければいけない、市井の研究者の埋もれた日常。年老いていくこと、表舞台に出ないのだという決心。想いが美しい世界なのです。

アタシはもちろん自分ひとりで成し遂げられる力がもはやないことは自覚している(大学生の頃や新入社員のころのあの万能感は何だったのだろう)けれども、それができると信じる世界の眩しさの記憶はあるのです。それが薄れて日常に埋没しているところに全く別の(女性という)光が差し込む瞬間のきらめきの嬉しさ。

実際のところ、自分お想いには全く気づかない相手、気づかないふりかとおもうと、おそらくそうではないという説得力。が、自分の幸せを願ってくれたひとの想いに気付いた時、その想いに気付いてしまった男の決壊。

わりと淡々と、しかし緻密に追い込んでいく原作に対して、初演と同様、舞台ではもうすこし笑いの要素が混じります。130分ほどの舞台ですから、観客に対しての緩急というかリズムを作り出すというのは劇作というよりは演出の領分ですが、これが効を奏しています。この妙味のバランスこそがキャラメルボックスの見やすさで、真骨頂だと思うのです。

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