速報→「へちま」文月堂
2012.4.30 14:00 [CoRich]
二十代、三十代、四十代の三姉妹をめぐる95分。30日までOFF OFFシアター。
藤沢の一戸建て。父親の七回忌に集まった異母姉妹の三人。長女は恋人と長い間つきあっているけれど、婚約した時とはずいぶん状況が変わってしまって、結婚しないままでいる。次女は不倫相手の単身赴任を追って神戸に行こうと思っているがどうにも男運がない。三女はずいぶん年上の婚約者をつれて来るが、言い出せず、つい父親の会社の後輩だという嘘をついてしまう。その応援になるはずの母親もまだ来ていない。隣の家に住む老人は姪が施設に入れようとするが、それを嫌がっている。
歳の離れた三姉妹、好きでたまらなくて結婚したいという気持ち全開な二十代、好きだけれど相手に妻がいる三十代、恋人は居るけれど結婚しないままずるずると四十代というバラエティ。三女の婚約者と母親、それに長女が同じぐらいの世代というのはちょっとおもしろい感じがします。
三女が結婚を告げ、反対する長女とやりあう序盤。四十代後半の大学講師(教授じゃないあたりが絶妙)が長女を説得しようとあの手この手。人間ドックの結果を持ってくるあたり確かにコミカルだけれど、アタシの世代にとってはこれが実にリアルな感じがします。この序盤の熱さが大好きです。あるいは長女と恋人の別れのシーン。結婚できない人々の話が大好きなアタシ(悪趣味だな)ですが、この歳まで恋人で居続けたのに、もう一歩が踏み出せない何か、それは男の側だけではなくて女の側もまた踏み出せなかったわけですが、それでもそこに安住せずに、もう一歩踏みだそうという気持ちの結果が別れというのはちょっと切ないけれど、こちらもアタシの年齢にグッとくる感じ。
祖母に苦労した長女の母親。娘である長女自身もまた、三姉妹の母親代わりのように気を張りつめてきたのでしょう。隙を見せずに生きてきて、恋人と別れてすら涙を見せることすらしないのだけれど、きっと同じように頑張っていた母親に勘違いした痴呆の始まった隣人とのシーン。二世代の女の姿が重なるようで物語が時間方向に広がっていく感じで印象的です。
長女を演じた三谷智子、静かにしかし芯の強い女を好演。アタシが上手側に座ってしまったがために終盤にいたるまでほとんど表情が見えなかったのはちょっと残念。上手側に固定している間は強い人、ということかなと思ったり。三女を演じた辻沢綾香は溌剌としてはちきれんばかりに若いという役を好演、実に可愛らしいのです。その婚約者を演じた白州本樹、真っ直ぐであくまで優しいけれど、社会性に少々欠ける学者バカというか微妙なずれ具合が居そうな感じでちょっとコミカルに楽しい。三女の母親を演じた辻川幸代は決して若くはないけれど、すこしおっちょこちょいで可愛らしく、なるほどこの母親ゆえの娘、ということの説得力。
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