速報→「 ま ○ る 」miel(ミエル)
2012.5.12 15:00 [CoRich]
「ま○る」という三文字の平仮名をタイトルにして人気作家の短編を6本+ダンスという構成の85分。14日までザ☆キッチンNAKANO(Studio VAD 6F)
開演前に配られる当日パンフにはどの作家がどの話を書いたかということは書かれていません。どれがどの作家の話かを想像するのも楽しいので、ネタバレに本文を書くことにします。
私は最後の一本以外全部外れてしまいましたが(笑)。オープニングとエンディングをはじめ、何カ所かには○を題材にしたダンスや、パフォーマンスが挟まります。
ネタバレかも
別れ話のカップル、女は別れたくないと泣き、男はゴメンと言い続ける。その原因は浮気だったのだが、どうにも女は奔放で。「まくる」(作・佐々木なふみ(東京ネジ))
誘拐されたカップル、犯人はカップルの男を殴り殺してある液体をふりかけると「まじる」(作・ほさかよう(空想組曲))
マネキンを整える人。マネキンが会話をしているよう。駅の美化をしている二人、イケてないカップル、綺麗だけれど会話が面白くない女にわかれ話を切り出す男「まげる」(作・ハセガワアユム(Mu))
耳の不自由な少女、叔父さんのことがとても好きだが彼は相手にしない。「ませる」(作・上野友之(劇団競泳水着))
ホテルで組み伏せようとする女は組み伏せられそうな男の上司で。だが、二人は出会い系で互いをそう知らずに会ってしまって「まもる」(作・登米裕一(キリンバズウカ))
母は娘を産み、二人で歩み、娘は巣立ち「まねる」(作・吉田小夏(青☆組))
「まくる」は奔放で振り回す彼女と振り回される(けれどちょっと後ろめたい)彼氏のほほえましく楽しいラブコメ風味。ほだされてみたり、ちょっといたずら心、フライパンで殴りかかりそうになったり、出て行ったり戻ってきたりというさまざまがぎゅっとしていて彼女を演じた石井舞、彼氏を演じた佐野功どちらも、実に愛らしく心地よいのです。
「まじる」はサスペンスな物語に少しグロい風味だけれど、物理的なそれよりも、自我のようなものが溶け合ってしまう気持ち悪さがより強くて印象に残ります。先週の「ロボむつ」でも魅力的だったユニゾンがまったく別の気持ち悪さを生むのが面白いのです。
「まげる」は3組のマネキン、動かすひとりで、ポーズをつけたり、倒れてみたり、間接がバカになってみたりという構成がすごい。会話はどれも正直どうでもいいものばかりなのだけれど、喋る(ような)マネキンと無口で動かす一人という構成がじつに面白くて、かつての名作「PLAY SET(SPARKO)」につながりそうなワンアイディア。15分続けるには長い気がするけれど、短さゆえの勝利という感じがあります。美人の女の子の会話がつまらないということを責める男、時系列で飛び回る長い会話を責め、さらにもう一言演出をつけるようなのが面白い。
「ませる」は若い少女が年上の男に惹かれるきもち、一方的におしかけるように真っ直ぐ進む気持ちがまぶしい。せりふを喋らせずに手話(とそれに別の役者がフラットに発声した台詞を重ねる)という方法を採った理由はいまひとつわかりませんが、年上の男が、それはだめだと理性で拒否する気持ちにアタシが乗りやすい感じはあります。週末、男が娘の母親にかけた電話、なるほど、似ている母娘、そこで動いてしまう男の気持ち。「私が知らない時間の話をするのはずるい」というのはちょっといいせりふです。
「まもる」は再びコミカルな色が強い話。割と背の高いテーブルの上で組んず解れつ、年上の女が恥も外聞もなく組み伏せようとする序盤から、その二人の関係、ここに来るに至ったこの期に及んでまだ拒否しているのか、そこまで迫るのかという情報の出し方が巧くて好きな感じ。上司を演じた金崎敬江がパワフルで、でもなんか可愛らしくて素敵です。迫られる男を演じた佐野功の受けも実に雰囲気にあっています。それにしても一歩間違えば怪我に繋がりそうだけれど。
「まねる」は作家らしい詩の朗読に映像のように母娘らしき女性二人の場面(詩の内容には無関係な感じで)を重ねるという体裁。この中では物語というよりは独白に近いわけで、余韻の勝負という気はするけれど、作家が時折するツイートのような雰囲気によくあっています。
短さゆえのワンアイディア勝負という気はありますが、それゆえの楽しさ、パフォーマンスを挟むという感じも気楽に楽しめます。で、使われる曲がことごとくアタシの気持ちというか世代にガツんとくる感じなのもちょっといいのです。
この手のオムニバスでは難しいところなのですが、どの役者がどの役か、というのは知りたいなと思います。終演後に配られるセットリストは嬉しいところですが、役と役者を一致させる記載が欲しいところです。
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