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2012.04.02

速報→「ストレンジャー彼女」tsumazuki no ishi

2012.3.31 14:00 [CoRich]

4月1日まで雑遊。130分。

タワーマンションの建設現場だが、工事は止まっている。その一角に住む女。まわりには、子供、と名乗る人々。近所のワンルームマンションで発見された遺体と同居していた筈の女。そこで降霊をするという噂を聞いて尋ねてくる母娘。殺人をしてみたいという妄想が止まらないのを心配して、母親が連れてきたのだ。果たして霊は降りてきて。

四角い舞台を四方囲みの舞台。入り口側が正面という演出。アタシは一番奥、目の前を斜めにパイプが走る角の席。全体に舞台は暗く、演出の向きも全く考慮されていない感じで、この狭い空間なのに、ずいぶん遠く感じるのは、アタシがこういう死とか霊とかを考えないようにしているからかもしれません。

いわゆる凶悪犯罪のさまざまな犯人っぽい人々が死者も生き霊もごっちゃに光臨。なにか鬱々と考えを巡らせる作家の周囲をぐるぐる回って観ているような感覚にとらわれます。虐待の末殺したであろう母親の周りに集う子供たちはもちろんこの世のものではありません。その目前で起こること、あるいは犯罪に手を染めてしまった人々も、彼女一人の妄想な気がします。もしかしたら、ここを訪れる客人たちさえも居ないのではないか、というのはアタシの感想ですが。とはいえ、誰かをどうにかしたいと思う瞬間、どうにかされそうだと思う恐怖の瞬間、どちらも(子供の頃はともかく)そういうことは(今のところは)そうそうないアタシにとって、この視点の人々をそとから眺めることは、微妙な罪悪感すら感じます。安全柵のこちら側から見ているということの申し訳なさというか。

舞台は暗く、役者の魅力のようなもので見続けるのもつらい感じで、この印象がアタシのちょっと厳しい印象に繋がります。じっさいのところ、演出を兼ねる寺十吾が「ポール」として降りてくる瞬間はぱっと舞台は軽やかで(照明も)明るく。この瞬間はとても楽しく観られます。

ほかにわかるのは拝見したことがある福原冠。正面から見られたのもあって、表情が薄く幼い感じにみえるというのはサカキバラという役な雰囲気をきちんとまといます。殺人願望に捕らわれる少女を演じた若松絵里、殺された異母姉妹を演じた亜矢乃は遠目にもきれいなのは感じられるのだけれど、いかんせん、暗すぎるし、その間にほぼ背中しか見えない役者が多すぎて壁のよう。なるほど、「関係者席」と書かれた紙が置かれている入り口横ならこういうことはないのでしょう。そこに座るわけにはいきませんから(まあ、早く行けばいいことなので自業自得ですが)、こういうことが観客のストレスになるな、とあたしは思うのですが。

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