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2012.04.23

速報→「オーシャンズ・カジノ」北京蝶々

2012.4.22 14:30 [CoRich]

北京蝶々の新作。100分。30日まで王子小劇場。そのあと大阪で短縮版の上演を予定しています。ぬいぐるみハンター・池亀三太の演出で。

日本での合法化をにらみ船を仕立てて公海上でカジノパーティイベントを開催する男。長崎がこのまま没落していくことがどうにも我慢がならず、といえば聞こえはいいが、事業化の一番乗りを果たそうとしている。建設予定地の地権者や土木工事を請け負うゼネコン、県議や中国人企業家を招待し、いわばその下地づくりをねらった航海。彼氏を追いかけて招待券を持たない若い女が無理矢理乗り込む。パチンコにうつつを抜かしてこの航海で一攫千金を狙う彼氏。果たして従業員たちに見つかってしまうが、掃除婦姿の女が匿う。

地方や日本の経済がどうにもならないことに対するカジノによる活性化策、その利権を巡る海外資本の目や警察など権力との関係を張り巡らせて描き出しつつ、ギャンブルに「はまりこむ」プロセスを描くのは、作家・大塩哲史らしい俯瞰な視点。断片は知っていても、いわゆるパチンコマネーをめぐるちょっと際どい描写もあったりします。(そうでもないか)

ギャンブルに限らず、何かにはまり込むということには理由があって、それは後がないということだったり、調子に乗ってしまうことだったり、あるいは酒で気が大きくなってる、なんてこと。勝たせられているということには何か裏があるのではないか、というごく当たり前のことに気づかないことの怖さ。

作家の歩みは更に続きます。 取材や調査を通したそういう社会の問題としてのカジノということをベースにしながらも、パチンコなどのいまのギャンブルですら地方の活力を奮い立たせるどころか、殺いでいるのではないかというあたり、地方の国道にパチンコ屋ばかりができて、昼間から駐車場が車でいっぱいだというのもまた地方の真実。カジノができれば活性化されるという楽観を立ち止まり、考えることの大切さ。

作家の描く物語によく登場するのが、もはや貧困の領域にまで踏み込もうとしている若者たちの姿です。カジノの華やかさの裏にある二極化の姿。あるいはその中にあっての恋人たちのつつましい生活、もっと上に行きたいという気持ちと一緒にいたいという気持ちの板挟みは切実です。

日本を救うぐらいに大きくなってしまった終盤のゲーム、芝居ですから偶然によることのおおいギャンブルのゲームそのものを描いても芝居になりません。つり上がる掛け金をどこから調達するか、とかあるいは万事休すな状況からの一発逆転の鮮やかさがエンタメとしてのおもしろさ。伏線をするすると回収しながら巧い追い込み方で、けっこう好きな感じです。

ちょと堅くなりがちになってしまいそうな話題だけれど、池上三太の演出は、この高さのある舞台を縦横無尽に走り回り、飛び回ります。正直ちょっと見た目にはヒヤっとすることもあるのだけれど、確かにスピード感、疾走感があって見やすい。

オープニングから飛び回る格好良さ、笑いに走って崩れることなく、ちゃんとヒロインを背負った帯金ゆかりがしっかりと。その情けないダメ彼氏を演じた堀越涼は、終盤の格好良さ、切れのいい台詞といい実に印象的。中国人企業家を演じた鬼頭真也は、ときにコミカルだけれど、冷徹な感じもしっかりとしていて、間違いなくヒールを背負います。

小劇場であってもカジノである以上、しょぼさを感じさせては元も子もありません。華やかさ、という点ででチャイナドレス姿のコンパニオンを演じた四人の女優の存在は大きいのです。甘粕阿紗子のぶりぶりな可愛さ、太股に見とれるオヤジなアタシ。あるいは胸元を大胆に開いた衣装の安川まりの「はさめるんです」という台詞にひっくり返りそうに(喜んでいます(笑))。それにしても、チャイナドレス姿でこのタッパのある舞台を走り回るのはちょっとした迫力ですが、怪我ののないことを願うばかり。

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