速報→「貴方と私の演劇革命」月刊「根本宗子」
2012.4.7 14:00 [CoRich]
月刊・根本宗子から派生して、外部の作家4名の一人芝居と、自作を日替わりゲストとの二人芝居で構成する80分。9日までゴールデン街劇場。
柔道着姿の女、父の敵を討つために力をつけるには女であることを隠してこの最強の道場に入門して「男 根本宗子」(作・政岡泰志(動物電気))
女の部屋、男と甘い日々を暮らしているのに、頭のおかしい姉はしつこく電話をかけてきて、果てには家におしかけてくる「ボーイフレンド」(作・河西裕介(国分寺大人倶楽部))
ナンバーワンのキャバクラ嬢、男なんか財布代わりにしか思っていなかったが、ある日男の顔がすべて同じ顔に見えるようになってしまった「顔」(田所仁(ライス))
女がパジャマ姿で「寝る前に」(作・鎌田順也(ナカゴー))
「僕の彼女は、根本宗子」で、浮気がばれて大変なことになっていて(作・根本宗子(月刊[根本宗子]))
自分の名前を掲げて活動する一人ユニット、月刊と名付けて自作で勝負する通常公演とは趣を変えて別冊と名付けて外部作家で構成し、役者としての根本宗子をフィーチャーしています。なるほど、それぞれの芝居のそれぞれの根本像があって素敵なのです。
「男~」は男臭くてすぐ裸になったりする動物電気の作家らしい舞台に、かわいらしい女の子が放り込まれるシチュエーション、セクハラも勘違いもとりまぜてバラエティーが楽しく、スターターとして客席を暖めるのです。
「ボーイフレンド」は国分寺大人倶楽部の隠れた名作「ガールフレンド」に似た着想だけれど、童貞色いっぱいな「想像」だった国分寺版とはちがって、居なくなってしまった人への想いが溢れた結果、という意味では現象は同じでもずいぶん物語の印象が異なります。序盤でのベッド、下世話な色っぽさめいっぱいなのだけれど、ことさらに露出をせずに布団で成立させるというのはむしろ新鮮でもっと色っぽい。中盤のキスから妙な具合になっていくというおもしろさは作家の力なのだけれど、それを実にかわいらしく、少々病的に演じる役者の魅力。
「顔」は、見た目ではキャバ嬢というのもあってもっとも露出が高い感じ。興味がないものは同じに見える、というのはもちろんほぼ誰もが感じることで、ああ、なるほどアタシがAKBがわからないのはこういうこと。それで困る職業というのを選ぶのは物語のセンスの良さだけれど、そこからもう一歩踏み込んでいい話にしてしまう力を感じます。
「寝る前に」は日常を覗くような静かな淡々とした日常、前髪をピンで止めて顔が変わって見えるということにびっくりする(いや、それはたいていそうなのだけど、経験のなさがここに露呈するアタシです)のだけれど、そのあとのオンステージ、歌詞をちゃんと追わなかったというのはたぶんアタシの失敗。
「僕の彼女は~」は毎回同じかどうかわからないけれど、浮気に逆上した彼女と、その男の話。こういうライトな病的さを可愛らしく演じるのは実に巧いのです。そういう意味ではもっと突き詰めそうな本谷有希子とはずいぶん仕上がりというか手触りは違う感じがありますが、自分を全面に出す、という売り出し方のベクトルは似ているのはちょっと不思議な感じすらします。
見せ方、物語のおもしろさという感じでは「ボーイフレンド」と「顔」が一歩リードしている感じがします。
アタシがみた土曜昼の回、女性客が半分をはるかに上回る男女比。この手の芝居だとアタシのような「観劇おじさん」がいっぱいにしそうなものだけれど、花見に浮かれて来なかったのか、あるいはゲストで選んでいるのか、この回は若い女性が客席に多いのはとても印象的です。いわゆる友達なのか、あるいは物語に惹かれた女性が多いということなのか、いまひとつわからないのですが。
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