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2012.04.17

速報→「絶頂マクベス」柿喰う客

2012.4.14 18:00 [CoRich]

女体シェイクスピアと題した女優だけでの上演シリーズ二本目はマクベス(wikipedia)。90分。23日まで吉祥寺シアター。そのあと伊丹。

当日パンフによれば野心や欲望よりも不満足感や劣等感に焦点をあてているのだといいます。ネットのどなたかの感想で言及されていた社畜、つまり使われる人間の姿を描いている、ということだというのです。なるほど、チラシでフィーチャーされる、スーツ姿に眼鏡というのはそういうことか、なるほど。

まるでミュージカルやキャバレーのショーのように華やかだったり、コミカルだったりというシーンを テンポの良く次々と切り替えながら進みます。物語をがっつり見せるというよりはショー的な要素の方に重きがある感じはあるのだけれど、シェイクスピアの骨太な物語、それでも一本芯が通った物語を観た、という感じで満腹感はもちろん味わえるのです。中屋敷演出の緩急のコントラストがしっかりしたテンポ、台詞のリズムがしっかりとしていることはもちろん健在で、この圧縮度合いなのに、台詞がぜんぶちゃんと聞きやすいというのはたいしたことだと思うのです。

終演後のトークショーによれば、若手公演的な意図があるといいます。なるほど、海千山千な岡田あがさ、渡邊安里、葛木英(もちろんみんな若いのだけれど)で脇を固めているように思うのです。にぎやかし、といえばそうなのだけれど、鮮やかだし、コントラストがはっきりして楽しいのです。

正直に云えば、初日時点では、マクベス夫人を演じた内田亜希子は美しいけれどまだ上品すぎる印象。怯えるマクベスを鼓舞し組み伏せ奮い立たせて血染めの物語の一歩へ踏み込ませるだけの説得力が欲しくて、力強さなり色香なりまであと一歩踏み込んで欲しい感じ。もっとも、後半で狂っていく儚さはきっちり。深谷由梨香は生真面目さ、繊細さ怖がる気持ちに説得力があり、このストレス一杯になっている主役をきっちりと。

なんてことをつらつら考えながらも、ともかく華やかでテンポがよくてしかも下味たる物語がしっかりとしていて、アタシの脳みそはへらへらと喜んでしまうのです。

ネタバレかも

終幕で「ヤバい」というのを口々なシーンが好きなのです。そのたった一つの物語の突破口、そこまでの疾走感が急ブレーキな感じの緩急、それはざわざわと感じる不安感のようなものが迫り、役者が勢ぞろいする「おめでとうマクベス」と祝福を歌いあげます。見栄えの良さ、クライマックスらしくて。

アタシはいろんな翻訳でも、どうもしっくり来ないのが「女の股から生まれた〜」というあの有名な台詞なのだけれど、今作「女のアソコからスッポーンと」。もう笑うしかない現代口語訳のあっけらかんさだけれど、しゃべり言葉としてのリズム感の良さがあって、これは「声」にこだわる演出の力量を感じるのです。

2012.4.19の乱痴気公演をUSTREAMで。正直にいうと、こちらのキャストほうが圧倒的にしっくりきます。マクベス夫人を演じた新良エツ子、二の魔女を演じた渡邊安理、マクベスを演じた七味まゆみ、マクダフを演じた内田亜希子どれもが腑に落ちるのです。それから、我妻三輪子が実に印象的な表情がいくつも。

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