速報→「お仕事いろいろ(C)」桃唄309+デフロスターズ
2012.4.15 15:30 [CoRich]
さまざまな仕事にまつわる短編を2本立て、3バージョン。アタシが観られたのはデフロスターズ・松本哲也が作演しかも出演までこなすという(C)バージョンで70分。15日まで東中野RAFT。
ふらりと旅をしている男が訪れた田舎の食堂はメニューがたったひとつ、弟が調理し姉が接客をするちいさな食堂で、料理が来ても姉は客の男のことをずっと見ていて。「ありがとう、ごはん」
役者は大きい仕事にプロデューサーを呼びだして相談があるという。どうも最近恋人とうまくいっていなくて、仕事に身が入らないのだという。ついては、本番一週間前だけど、降板させてほしい、と。「春ボケ」
「~ごはん」は
田舎にある暖かい雰囲気の食堂、といえばなんか最近流行の邦画っぽい感じもあるけれど、なんかずれた不思議ちゃん感というか、しゃもじをねぶってみたり、かいわれの水切りを頼まれてみたりとたしかに「少し不思議」感がいっぱい。物語として巧いと思うのは、こういう不思議さがあっても「おいしい」とか「やさしい味」というステロタイプに味のクオリティを担保するという安易に流れず、「ギリギリだからね」とか「まずい」うえに、モノの割にちょっと高いというのが巧い。それでも暖かい感じにするということのおもしろさ。もっとも、このおかげで二度とここを訪れることはない、という一過性な感じがちょっといいのです。
店の女を演じた篠本美帆は、その慇懃無礼、ずかずかと踏み込んでくる感じなのだけれど、可愛らしさで嫌な感じにならないのがいいのです。松本哲也は無口、巻き込まれる感じが観客の視座。一言も喋らない塙育大は独特の存在感。
「春ボケ」は、 色ボケして、うまくいってない恋人ゆえに本番1週間前にして仕事を投げ出そうとする役者と、それをなだめすかし、時にヒドいこと云われながらもどたばたと奮闘するプロデューサーと、言いたい放題なわがままを振りかざす役者という二人芝居。実際のところ、何も解決しないどころか、そのままかよ、という突っ込みをしたのはアタシばかりじゃないとは思うのだけれど、物語の構造とか物語そのものというよりは、そのプロセスと役者を楽しむ感じが気楽に楽しいのです。
ほぼ同じ流れで男女を入れ替えてという構成。微妙に変えているけれど、それが物語に大きく影響という感じではありません。それぞれの立場、あたかもアドリブな感じの何カ所かを中心に役者を楽しむ感じなのです。
終盤、何かを期待させるような物言いするから期待していたら、という「何このフられた感じ」という台詞、ベタだけど楽しい。
異儀田夏葉は、プロデューサーではモテない感、巻き込まれ感いっぱいで時に突っ込み、時に蹴ったり、役者では可愛らしさと、わがまま感。くるくると変わる表情が楽しい。
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