« 速報→「まあまあだったね」あひるなんちゃら | トップページ | 速報→「スケベの話【バットとボール編】」ブルドッキングヘッドロック »

2012.03.07

速報→「Turning Point 【分岐点】」KAKUTA

2012.3.4 14:00 [CoRich]

KAKUTAの15周年シリーズ。結成当時の作家・金井博文や、大きく関わってきた堤泰之を交えた三人の作家の連作の体裁で、二人の女性の15年を描く140分。4日までザ・スズナリ。

通りすがりの男とホテルに入って、財布を抜き取って逃げている貴和子、絵里。が、シャワーを浴びている男は死んでいた「1997年 出発」(OPENING/作・金井博文 演出・山崎総司)
美大の片隅、旧校舎の一室をアトリエとして持っている教員。学生たちがデッサンしたりゲームをしていたりする。貴和子はその教員とつきあっているが、7年生になる弟も気持ちを寄せている。絵里は劇団に学内の劇団に入っている。教員が大麻を所持しているという捜査員が学内に現れていて。「1999年 決別」(第一話/作・桑原裕子 演出・山崎総司)
同じ建物を借り受けたマクロビオティックと野菜の頒布団体の作業場。心酔しきっている代表は、和歌山で作られた農作物を仕入れているが、売り切ることが出来ず土に埋めている。その農家の男が久し振りに訪れる、一緒にヨガ教室をイベントにしようとするが。「2006年 迷路」(第二話/作演出・堤泰之)
同じ建物、取り壊しが予定されているが、中断したままになっている。久しぶりに貴和子は社長になっていて、青春の思い出のこの場所に本社オフィスを建てようと下見に訪れる。取り壊し途中の懐かしい状態だが、ここに不法滞在の外国人やホームレスが住んでいるのを見つけてしまい、その中に、親友・絵里が居る。「2011年 対峙」(第三話/作演出・桑原裕子)
いよいよ本当に取り壊そうという日。再び貴和子はこの場所を訪れ、絵里も呼び出して、二人で写真を撮る「2012年 覚悟」(ENDING/作・金井博文 演出・桑原裕子)

最初と最後に15年の歳月を経た女二人きりの短い場面、その間を繋ぐ三つの物語。実は結構波瀾万丈な女性二人、同じ場所での再会を描く、思えば遠くに来たもんだ、というロードムービー風な(でも場所は変わらない)仕上がり。徐々に登場人物が増えていき、きちんとつながり、積み重なっていくのはまさに歴史。二人は互いに相手を妬ましく思うこともあって、でもそれをわざわざ云ったりしないし、離れてしばらく連絡取らなくたって、やはり意識せざるを得なくてということを描くのだけれど、それがわかるのは物語がずいぶん進んでからです。

第一話は、大学のアトリエ、ちょっとはずれた場所、恋する心が渦巻く空間。教員の弟が想いを寄せている兄の恋人、社会人になってもサボって出入りする卒業生や、ちょっと気になっている後輩の女子とか、さまざまな。物語は全く違うけれど「カメラ≠万年筆」や「サラミの会」に近い味わい(芝居では実は結構少ない気がする)。妊娠のこと、というのは間違いなく女性の人生のターニングポイントになりうる要素を。 テンコと呼ばれる後輩女子を演じたヨウラマキが今までになく実に溌剌として可愛らしい造型。ツンデレちゃあそうだけど、そんな言葉のないあのころ。ヲタキャラの卒業生を演じた熊野善啓もなんか可愛らしい。

第二話、居場所を見つけるためにさまよう感じの話。しかしここでも、憧れる気持ちと愛情、小さなコミュニティの中の愛憎、信じることを信じるあまりの押しの強さ、それが愛情と混同される瞬間を鮮やかに。デフォルメされたキャラクタが一番強烈で破壊力があります。桑原裕子演じたGカップなヨガインストラクターは、オバサンキャラも目一杯。バストのあること無いことは実は小さなことだけど、それが重要なことになるということを小ネタ的に描くのも楽しい。整形を指して「こっちは顔が農薬まみれだよ」というのはいい台詞だし、終盤の「タネ、蒔いたんでしょ」というのはぞくっとします。 あるいはやたらに声の小さな関西弁の農家を演じた成清正紀は静かな魅力、パワフルな外国人を演じた高山奈央子はパワーでかき回し、がっつり笑いを取っていいテンション。

第三話、思えばずいぶん立場の違いがあからさまになってしまった物語。いわゆる格差が二極化するというのも、この時代の空気の感じによくあっています。ため込んでいた想いは決していいことばかりじゃなくて、云うまでもないけれど、腹の奥でどす黒く渦巻いて、積み重なっていたことを表出できるようになったこと。互いに相手が妬ましく、自分のものを何でも取られてしまうと感じていたり、居場所を次々と見つけていけるということがうらやましかったりということがあからさまになる、いわゆる解決編になっています。

年齢を重ねた女性の物語、という方向に大きくシフトしている桑原裕子の最近の流れに沿っている物語、さまざまにぶつかり変わっていく女性二人のいわば大河ドラマなのだけど、その「分岐点」だけを抜き出し、バラエティに富んでいて楽しく、豊かな空間を作り出せるのは、15年の歴史を経て作り出したこの劇団の役者やスタッフの確かなちからの結実。それをお祭りとしてアタシは楽しむのです。

|

« 速報→「まあまあだったね」あひるなんちゃら | トップページ | 速報→「スケベの話【バットとボール編】」ブルドッキングヘッドロック »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 速報→「Turning Point 【分岐点】」KAKUTA:

« 速報→「まあまあだったね」あひるなんちゃら | トップページ | 速報→「スケベの話【バットとボール編】」ブルドッキングヘッドロック »