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2012.03.12

速報→「春待草 - ひとりでは淋しすぎて-」菅間馬鈴薯堂

2012.3.10 15:00 [CoRich]

売れない演歌歌手・影山ザザの旅回りを描く「一人では淋しすぎて」シリーズ。その初演を元にしているようですが、震災から一年という時期の東北・秋田という舞台に応じて手を加えているようです。13日まで王子小劇場。初稿決定稿も公演前にネットに無料で公開されています。

売れない演歌歌手がマネージャーや衣装係と東北を回る。訪れた秋田のひなびた温泉宿。10日間の寝泊まりは、ホステスの三人の若い女たちの部屋と相部屋だという。衣装係の女自身も歌手だが、彼女を含め、三十路半ばを過ぎた旅回りの歌手たち、どうにも芽が出ない。

かつて一念発起で出したセカンドデビュー作「春待草」にまつわるザザ自身の物語と、来るかどうかわからない春を待ち続けるような「売れない歌手」たちが交錯する物語。衣装持ちとして拾われるがおそらく芽が出ない出戻りだったり、弟子でありながら袂を分かつように出て行ったがそこでも苦労している二人だったりと、30を過ぎても夢を追っていること、その挫折を描きながら、60を過ぎていて、一目をおかれるのだけれど売れることなく、でも旅を続けるザザの物語。

ここまで続けばもう、まるで寅さんのようですらあって、この味わい深い話、「負け続けている」ことへの優しい作家の視線だけれど、厳しい現実は容赦なく。このトラックを走り続ける人、そこから降りる人ということの厚み。 ザザを演じた稲川美代子はもう云うことない安定。出戻り歌手を演じた舘智子は他ではあまりみられないポニーテールにミニスカート、なかなかどうして。たしかにこういう39歳(という設定)は居る感じ。旅館の主人を演じた吉川湖も、朴訥なまっすぐな感じが印象に残ります。女性たちが舞踊ると終盤のショーの場面は妙に華やかで場末感もあって楽しい。

ネタバレかも

ザザも周りも「恥ずかしい」歌という「春待草」は、かつて一緒に暮らしていた男の作曲によるものだけれど、一人私は生きていく歌。その男の訃報に触れ封印を解き歌うこのシーンが実に印象的で味わい深いのです。(決定稿の中に歌詞があります)

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