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2012.02.27

速報→「レイプの夜」コマツ企画

2012.2.26 14:00 [CoRich]

ある種イタい男を描いてきた小松ミムルひとりになっての初めての公演は、女の側の痛さを存分に描き出す80分。劇場「楽園」。

一人暮らしの女の部屋に押し入った友達の男がそのまま押し倒す。が、女は男を殺し、姉を呼んでくる。そこに男をつけていたカノジョ、下の階に住むという男も死体を目にしてしまうが、まだ通報はしていない。もう、男が死んでから半日が経っている。

一人暮らしっぽく適度に散らかった部屋、真ん中に布団。ビデオカメラがあったりする。モテる男を目当てにバーに通う女たちはしかし恋破れて店の他の男たちに流れていくという、まさに生態系。あまり派手ではないのに、「女の一人暮らし」をめぐるさまざまがぎゅっと詰め込まれた感じがします。

全体に女たちのものがたり。人に見られていることを意識した洋服の脱ぎ着が母親に似てきた形容される姉のことだったり、どこか自信がなくて二番手の男の恋人を狙うストーカー女が「優しい言葉をほしがる」気持ちだったり、家主の女にしても、じつにねっとりと様々に女を造型していて、それはある種のイタさ。今までの劇団員たちだったら、イタい男たちを滑稽に描くのに対して、作家自身女性だからなのか、笑いよりも近親憎悪に近いような容赦のなさの視線を感じるのです。こういう作風がまた、アタシが好きだったりするわけですが。

中盤あたり、繰り返しがあったり、「これはアタシの現実」というような台詞があったりして、虚実が曖昧になるような感じもあります。 終幕近くの種明かしまでは正直どこに着地するかよくわからないまま彷徨っているような感じさえします。終幕にしても、これが誰にでも納得できるオチかというとよくわからないのですが、アタシにはなんか、とっても腑に落ちる感じなのです。 その二番手以下の男に惚れてしまった女を演じた吉川順子が劣等感いっぱいというのは昨日観た「ブスサーカス」にも通じるようで説得力。姉を演じた小松ミムルの生着替えはなぜか笑いを生んでしまうけれど、それをわかった上で箸休めのように挿入されます。家主を演じた深谷由梨香のかわいらしさ、わがままさ、あるいは姉と喧嘩するシーンの圧巻。

ネタバレかも

女が男に対して理詰めで話をしていると、それはやがて詰問のよう。静かにしかし締め上げるような詰問は演出家のような息苦しさ。芝居そのものを芝居の中に入れ子にしなくても同じようなシーンは作れるのだといういい例だと思います。この理詰めは逃げ場をなくし追い込んでいくし、弱気になるところでそれをなだめる、という駆け引きが実に楽しい。 芝居は「ごっこ」なのだということ、それを飲み込んだ上で真剣にやっていく姿は滑稽でもあるし、イタくもあるけれど、見世物上等とばかりにしっかりと歩んでいく宣言だ、と読み取ってしまうのはやっぱりちょっと考えすぎか、アタシ。

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