速報→「間〜あわい」エビス駅前バーP
2012.2.26 18:00 [CoRich]
ひとつの店の中で起きる出来事を20分ほどの短編3本にして70分。3月6日までエビス駅前バー。
客のほとんど居ないバー。家主の男がひとり。ときおり、流しの女が訪れる。
(1)サラリーマンの二人連れ。恋人が居るけれどちょっとギクシャクしている男と、恋人が居ない男。幼なじみをの二人は話しをしたくて同窓会を抜け出してきた。
(2)カレシが出来た女、いままであからさまにダメンズばかりだったのに、若いのに金に余裕があってやさしい男に惚れて恋人同士になる。
そのカレシを友達に紹介したいとこのバーにつれてくる。女友達もやってくるが、どうも、ちょっと妙な雲行きで。
(3) 年に一度訪ねてくるマスターの妹。母親と父親は離婚していて、父親はとうに亡くなった。酒と暴力でひどい父親だったけれど、店をしっかりと守っていた。
マスターと流しの女は全編に登場。営業していない店の店内、という、日常とは少し離れた舞台の設定。それぞれをギターの生演奏の歌で締めくくるような感じ。どこかおしゃれな感じが全体を包みます。
(1)は幼なじみの男同士の友情の話しをベースに。一人が恋人を持つとちょっと嫉妬に見えてしまうような。それでも、何でも話し合えるように、ふざけあいながらなホモソーシャル感あれど、着地点はごくごくストレートで真っ当です。どこにでもある何気ない話しなのに膨らませて見応えある仕上がり。送る側の男を演じた山本洋輔は時にコミカルでオーバーアクションだったりもするけれど、その勢いも最初の一本なので、うれしい。
(2)は、あからさまにダメんずだった女に訪れた春。優しくてお金持ってて、物静かで非の打ち所がない男で友達に胸を張って紹介できて。でも、この若さでこれだけの余裕があるのは、というあたりの物語の運び方が楽しい。もう一人の女は恋人が居るけれどマンネリで、刺激がほしいなんていっていて、その刺激を受けたときの表情が実に素敵。 カレシができた女を演じた川西佑佳、その大泣きのシーン、演奏される「失恋レストラン」も実によくて。友達を演じた鈴木麻美は、久しぶりに拝見する気がするけれど、意外に少ないちゃんと幸せ(だけどマンネリ)という役が、ファンとしちゃうれしい。「刺激」を受けてときめきと恐れが同居する表情がとてもいいのです。
(3)は、家族の話。親孝行したいときには親はなし、という話で、じっさいのところわりとベタではあるのだけれど、情報の小出しにする仕方、他に逃げ場のないように物語を追い込んでいく終盤、そして母親を役者に演じさせずとも登場させる、という演出のうまさ。一番奥に座ってしまったアタシは、その扉のところで何が起きたかはよくわからないのだけれど。工藤理穂演じる「大人な社会人としての妹」と、あるじを演じる宮本行の「成長しきれない兄」という対比がじつにいいバランス。流しを演じた丘咲アンナもこのパートではしっかりと役者で物語にとけ込みます。
ネタバレかも
アタシの友人が、あたし好みだという (2)。確かに巧く恋のできない女の話が大好きなアタシです。モテ男がひどい、っていうじゃなくて自分で稼がないのに悪びれないダメんずというのは今どきの感じがします。それはまた、女自身が今まで養ってきたダメんずが別の角度で自分のところにやってきた、ということで、その入れ子な感じが巧いなと思うのです。
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