速報→「アントン、猫、クリ」快快(faifai)
2012.2.19 19:00 [CoRich]
2009年初演(稽古場公開)。本編約60分、休憩を挟んでゲストからのリクエストに応じて部分的に再度上演しつつ演出がコメンタリーをつけるという趣向で全体で120分ほど。20日までnitehi works。9月公演で現在の主力メンバーが何人か抜けるという発表直後。
アパート、住んでいる人々、近所の人々、住んでいる街。それぞれに生活をしているけれど、あるとき現れるようになった野良猫を介してつながる人々。
初演は二人の役者だったと思うのですが、2010年のSTスポット公演(アタシは未見)で4人の構成、今回のコメンタリ上演もこの時はじまったようです。10名ほどの登場人物。強い身体を持つ役者で構成されていて、シンプルに洗練され、しかし力強く表現されているのです。初演は作り手の迷いが残っている感じで、わかりやすくはなかったのですが、ノイズがもっとあった気がする初演の方が、アタシとしては好みなのですが。
序盤の「目覚まし時計」、朝の風景の描写、猫でつながる人々、猫が居なくなったこと、そして猫が現れたこと。通りがかる人々、朝の声、町に働く人々、町に所在なく居る人々。終演後のトークによれば、実際にモデルが至りして、公演の中でもそのインタビューで使われた生の音声があったり。なるほど、フィールドワークできっちり町だったり人々をしっかりと描き立ち上げることがしたいのだな、とも思うのです。そう考えると、観客と、あるいは人々とつながろうとする公演の作りが実にフレンドリーだということが腑に落ちるのです。
一人一人がつながることなく生きている都会、そこでつながる瞬間、というある種の寂しさやら孤独やらを描くことを得意とする作家なのだけれど、それよりはもっと普遍的な風景というか、そこにある人々の構図を写し取るような仕上がりです。
終演後に設定されていたのはコメンタリー上演。毎日設定されているゲストや観客のリクエストに応じて、部分部分を演じながら、演出家がコメントをつけていくという趣向。篠田千明という演出家の観客も巻き込んだライブな仕切りは圧巻で、実に面白いのです。いくつかのリクエストを聞いて、適切な小分けのきっかけ分けて役者に指示し、見やすくするように役者の声を個別に絞らせたり、自在に切り取り、早送りしながら見せるということをライブでやるってのは、役者はもちろん、照明や字幕というスタッフたちも含めたチームの力を感じさせます。
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