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2012.01.08

速報→「全員彼女」TOKYO PLAYERS COLLECTION

2012.01.07 14:30 {CoRich]

上野友之の個人ユニット、トープレの新作は急遽公演が発表された65分。短編芝居が15分ほどついています。9日まで王子小劇場。

ある夜泊まりに来た彼女は翌朝、突然増えていた。

ネタバレっぽいので

可愛い彼女が出来る過程、彼女が突然増えてしまうこと、元カノっぽい女の存在、彼女が始める「話」上野友之の脳内妄想の真骨頂。妄想ですから、一人に戻る彼女が別の役者で演じられたり、5人は見分けがつくのかつかないのかぼやかして書いてあったりと、正直言うと、緻密さが身の上のこの作家にしては細かなところのつじつまが合わないところがあるのは少々もったいない気がしないでもありません。が、「急遽公演」とのことだし、なにより登場する女性たちが、それぞれに個性をもって魅力的、わずか1時間ぐらいにぎゅっと凝縮されている感じのほわんとした雰囲気ながら、ちょっとほろ苦い感じもあったりするファンタジーなのです。

彼女が増えていくのは、なんでも全部きっちりこなそうとする「頑張りたい気持ち」ゆえなのだという作家の視線は優しい。一人の女性の中の「彼から見て」の魅力、たとえばしっかりしていてエロかったり、料理が上手だったり、優しく励ましてくれたり、サブカルに詳しかったり、社交的だったり。それぞれが5人に分裂してそれぞれが完璧なのだから、一人にまとまったときに今一つぼんやりと感じてしまうという描き方はたしかにそのとおりだけれどもずいぶん残酷な描き方だよなぁとも思うのです。

短編ながら、恋人になり、人数が増え、という過程を二回なぞるフォーマット。少々冗長な気がしないでもありませんが、男の側も女の側の心の声が聞こえてしまうようになる二回目もちょっとおもしろい感じがします。

それにしても、飲み会の帰り道、初めてのデートと進む序盤ほんの10分ほどのこのきゅんとする感じ、けっこうなオヤジなアタシには遠い日の花火の情景だというのにどうしたものだろう。演じた冬月ちきはそのニュートラルが実によくて、作家の描き方も役者にも心を鷲掴みにされるのです。 心を鷲掴みにされたといえば、もうひとり元カノっぽい女、大いに泣き、たくさん話し、振られたのに後腐れ、と様々な表情があって「オンナ学校(by 西原理恵子)」っぽく、実に魅力的です。(役者がわからないのが残念無念)。

それにつけても役者の名前がわからないのが残念。役名というわけにはいかないでしょうから、役の属性でも写真でも何かわかるようにしてほしいなぁと思うのです。

終演後のイベントとして毎回設定された短編芝居。アタシの見た回は「全員元カレ」と題された3人芝居。本編の序盤部分のフォーマットを借りたセルフパロディー風に始めて、一人の女の子を巡る二人の恋人たち、というたわいもない話なんだけど、むしろ短いがための爆笑編で本編の印象が薄くなってしまうほどに。こちらも女優をかわいく見せることは一流で、二人の男がさまざま女の子のことを(多少のプライベート的なネタを挟みつつ)語ったり、あるいは「狭い小劇場」の世界で元カレ元カノがそこかしこの現場に居てしまうという、まあきっと現実にもあるだろうネタでもうひと絞り。コント的にいろいろ応用が効きそうなフォーマットで、日替わりの全部をみたいよなぁ(USTREAM中継があるようですが)

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