« 速報→「深呼吸する惑星」第三舞台 | トップページ | 速報→「イエスタデイ」ブラジル »

2012.01.23

速報→「渡り鳥の信号待ち」世田谷シルク

2012.1.21 14:00 [CoRich]

一昨年秋の上演作(1)を大幅にパワーアップ再演、というよりはかなり手を入れているようです。120分。22日までシアタートラム。札幌と京都での公演があります。

祭りの日、鍾乳洞を光で飾った父親だったが、具合を悪くして娘は配達されない牛乳を求めて出かける。が、気がつくと同級生と二人、列車の座席に座っていた。
この町、アリオリを訪ねてやってきた三人の女は管理人の導きで鍾乳洞を観に出かける。

銀河鉄道の夜をモチーフにしながらも、それは部分として取り出し、混ぜ合わされてまったく別の物語に。初演ともずいぶん変わった印象があります。ずいぶん手を入れたようで、物語というか芝居としての部分よりも、広い舞台にあわせて新たに導入された「オドリコ」たちを「渡り鳥」として、大きな舞台を狭しと配置しダンスをする、ということにより力を入れた印象があります。娘をなくした父親のこと、旅をする三人の女、新米パイロットの職場に弁当を届ける姉、鍾乳洞への路をみつけた管理人の男とその弟らしい牛乳配達、親戚を心配する女に、それに恋している仕事で訪れた男。さまざまな断片の物語。光速な銀河鉄道はその光速運転中だけ時間が逆行して若くなったり、前世の人々の会話、という感じになるけれど、それ以外は基本的には行き場のなくなった「渡り鳥」たちのいるところ。それぞれの人物たちが微妙につながり、重なり合いということはしているのですが、幹につながるというよりは、互いに点描されたものがゆるやかにつながります。

物語を流れでとらずらいかんじがあるので、すでに知っている「銀河鉄道の夜」にピースをはめていくという作業になるのですが、もとの物語はモチーフにすぎないところも多くて、「物語の流れ」としてはめ込んでいくのも少々難しくなってしまった感じはあるのです。

そんな中でいわば「小芝居(褒め言葉です)」としてはめ込まれた、 女三人たちの物語は寄り添いやすい。派手なリアクション芝居、というのは物語全体の雰囲気からはちょっと浮いてる感がしないでもないのですが、佐々木なふみ、帯金ゆかり、松山樹香の三人が演じるこのシーンがいとおしく好きです。あるいは、滑り芸的に挿入される高木健、その姉の切なさをしっかりと作る、こいけけいこ、巧くなったよなぁと心底思います。

映像にもダンスもきっちりと作り込む作家らしく、舞台いっぱいに広がる無数の文字は飛び交う星のようで、インスタレーションのよう、という印象は初演からも変わりません。その「文字のミルキーウェイ」の中にたたずむ青い(しかもおへそはでてるし、ミニスカートの脚線美だ)渡り鳥たち、という美しいダンスが組み合わさり、パワーアップしていますが、ワタシは初演の物語の強さの方がより好みだと感じます。 あるいは、序盤や終盤で疾走する子供のあと、粉塵のように巻き上がる椅子というような美しいシーンも印象に残ります。


トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 速報→「渡り鳥の信号待ち」世田谷シルク:

« 速報→「深呼吸する惑星」第三舞台 | トップページ | 速報→「イエスタデイ」ブラジル »