速報→「軽快にポンポコと君は」ぬいぐるみハンター
2012.01.08 14:30 [CoRich]
ぬいぐるみハンターの新作。狭いOFF OFFシアターだからこそ物語が濃密になった印象の110分。15日まで。
かつて日本のあちこちで人間と共生していた狸に似た「ポンポコ」は、人間社会の文明が進むにつれて共存が難しくなり、乱獲されるに至って地下に潜伏するようになった。頭脳に優れ文明の進んだ人間にいつか復讐しようと機会をうかがったまま数十年が過ぎた。東京近くに潜伏している「ポン吉」は革命を願い潜伏することを指導した伝説のひとだったが、今では妻も子供も居て一家で暮らしている。
ある日、ポンポコのよき理解者だった国会議員の訃報を知った全国のポンポコたちがいよいよ全面対決を決意する。ポン吉の長男は、ポンポコとは思えない知能の高さで対決するための最終兵器を作っていたこともあり、その戦いのリーダーに選ばれるが。
王子小劇場のような空間を縦横無尽に走り回り、スピード感、グルーヴ感めいっぱいという色合いの強い劇団です。が、なにせあの狭いOFF OFFシアターで、しかもそれなりの人数の役者です。ダンスこそ結構あるけれど、さすがに疾走するようなことは出来ません。が、その足かせのおかげで、ファンタジーとはいえ、物語に厚みがでて、濃くなったことがプラスに働いています。もっとも、空間を把握するという意味では、出捌けに苦労する芝居の多いOFF OFFの下手側に捌けたあと少し隠れて待避できる場所をつくり、中央から出てくる役者のあとに袖に上手側にしかない袖に引っ込むというちょっとした発明が実に効果的で、物語のテンポがまったく落ちないのがすごいと思うのです。
ネタバレかも
落人の隠れ家、外界から遮断された中、時折やってくる外の人、復讐の機会をねらっている一族、が、今の日本なら勝てるんじゃないかという物語の展開。かなり無理矢理感は残りますが、大きな問題ではありません。細かいところをつっこめば、あれだけの技術力がありながら、外の出来事をそれまで全く調べていないのはなぜだろうとか、父親に妹の秘密を隠そうとしてるのはなぜだろうとか、辻褄のあわないことはたくさんあるのですが、それを物語の圧力で押し切るような力があります。
ふたを開けてみれば、それもこれも愛情の話。夫婦にしても、妹たちにしても、兄にしても。何かに熱く、気づかないうちに何かをなしてしまうというのは後から考えれば都合がよすぎないかという気がしないでもありませんが、観ている最中はまったくそれを感じなかったり。
時折はさまるダンスシーンが実にかっこいい。先頭に立って踊る看板・神戸アキコが実に切れがいいのです。それなのに芝居をするときっちりお母ちゃん、この落差が共存するだけあって、さすがに怪女優というだけのたしかな力。父親を演じた、なすびはさすがにオーラを感じさせます(しかし顔大きいなぁ)。長男を演じた本井博之はあふれる優しさ、冷静さのようなものがぴったりな感じ。妹を演じた浅利ねこのちょっとしたツンデレぶり、内気な感じがかわいい。末っ子を演じた本山歩、序盤から「デベソ」ってのが可愛らしいけれど、終盤で大泣きするアタシなのです。
作家が多く描くシーンに、女の子が一人大泣きしている、というシーンがあります。今作では二つ。序盤と終盤。それを呼び、迎える誰かという構図が実に暖かい。
本当のネタバレ
これ、アトム(のテレビ版の最終話)だと思うのです。確かに自己犠牲、その目に映ったものという終盤が実に印象的で、アタシは大泣きするのです。それを知って作ったのか、知らずに描いたのかは、アタシは知る由もありません。そういう目でみると、その後のシーンが少々蛇足に感じてしまうのは、そりゃアタシの問題です。
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