速報→「ゆく年くる年 "SHIBA⇔トン" 歳末大感謝祭」faifai(快快)
2011.12.28 19:30 [CoRich]
ずいぶんと久しぶりに拝見した気がします。2010年6月の東京上演のあとに、大阪、ベルリン、ブタペストを経て熟成を重ねた「快快の芝浜」の上演を核に、ツアー報告を交えたり今年の様々を織り込んで忘年会にもなっている180分ほど。28日までイベントスペースM。
中央に場所を空け、まわりを囲むように観客を座布団や椅子で座らせる、というなんていうんだろう、ドリンク・フードがあるからか、東京初演にくらべるとずっとパーティな雰囲気。
ツアーでは、その町ごとに長期間の滞在をして、各々のメンバーがその土地の「だめ人間」的な物をフィールドワークを重ねてきたのだといいます。時にドラッグ、時に風俗、時に舞台美術のためにゴミ置き場を歩いたり。あるいは世界各地の監視カメラに写る人々のこと。それぞれをメンバーの報告という形でそれぞれの役者、スタッフの語り。これもパーティ風という体裁によくあっています。これを聴くと、一年半、見た目のユルさとは裏腹に、彼らは実に地道にフィールドワークを重ねてきたのです。ステロタイプな「だめ人間」や「一攫千金」のようなものを言葉に頼らず、それは人にとってどういうことなのか、ということを言葉の違う土地での作業を通じて自分たちの中に沈殿させるというか、なじませる感じ。なじませたものを、200年前から江戸・東京と続く時間の地層の中で変わらない何かをつかもうとしている、という風に思います。
もっともその結果、今作で出てきたものはといえば、やはり「酒浸り」という単語だったり、「100円じゃんけん」という一攫千金シミュレーションだったり、あるいは「女体盛り」だったりと、前半のイベントは、やはりお気楽な感じではあります。それを経ての、後半、彼ら自身の演じる「高速マッシュアップ版・芝浜」というのは圧巻です。
だめ人間・クマちゃんと、その妻。芝浜の物語を語ろうというよりは、そのキーワードになる「だめな人」「一攫千金」「夢」のあたりを骨格にさまざまにインスタレーションをめまぐるしく作り出します。物語に直接関係なくても、地震のこと、原発や避難地域のことなど交えつつ。あるいは夫婦の愛情だったり、次から次ぎへと。こういうパフォーマンスで「マッシュアップ」ということばを使うのは珍しいと思うけれど、さまさまなフィールドワークで培った地力、それを砕き、ばらばらにして混ぜ合わせる構成力、まさにマッシュアップということばがぴったり。パフォーマーたちがiPhone片手にイベントを仕切るというのも、おそらくはプリンターなんかが当てにならないあちこちを飛び回る中で培った手法なんだろうけれど、なんか「道具として使いこなしている」感じで実にかっこいい。
前半のイベントの中の一つ、ミュージシャンたちに混じっての立川志ら乃の落語。といってもほとんどは、「二つ目昇進試験の時の話(NHKでの放映があったらしい)」。アタシはついに、生の立川談志を聴くことはできなかったけれど、その孫弟子の口から語られるその人となり(といっても試験のその場だけのことなのだけど)が見えたりするのは、年の瀬らしくてまたちょっとお得な感じもあります。
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