速報→「エクソシストたち」渡辺源四郎商店
2011.12.2 15:00 [CoRich]
9年前の弘前劇場として上演された「月の二階の下」(未見)の改訂再演というか、別の話になったので新作らしい80分。一週間の青森公演のあと、アゴラ劇場で4日まで。80分。
学校を長いこと休んでいる児童を心配して担任が家庭を訪れる。自分に原因があるとおもい自責の念でなかなか足が向かなかった。
その直後にカミサマ、僧侶、神父、ミュージシャン、精神科医がそろって訪れたのには理由があった。ある日突然娘が突然野太い声で母親を罵倒し、叫び、暴れるようになったのだった。顔もからだもまったくかわってしまい、可愛らしかった面影はなく、悪魔が憑いたとしかおもえなかった。悪魔を払うべく彼らを呼んだのだった。前の夫と離婚する直前だったが、母親は別の男と暮らし始めている。
エクソシストという映画を下敷きにし、いわゆる「悪魔憑き」を下敷きにしながらも、「悲しさ」が先に立つ物語としてオマージュにしているのだといいます。コミカルに見える悪魔祓い(エクソシスト)たちをベースにしながらも、母親、離婚、再婚、その間の子供というミニマルなコミュニティの話を静かに描きます。
正直なところ、悪魔憑きの原因やその結末がきちんと語られはしなくて、あるいは笑いという点でも人情喜劇としてもうすこし突き抜けた感じもほしいところ。終幕は同じことが続くという予兆の怖さはたしかにホラーへのオマージュなのだなぁと思うのです。
小学生の娘を演じた音喜多咲子はプロフィールをみてびっくりな大学生。不器用なぶっきらぼうさが小学校高学年っぽい感じ。母親を演じた工藤由佳子は終幕近くでの迫力というか怖さ。はまってしまいそうな魅惑は更に磨きがかかって。内縁の夫を演じた山田百次、元夫を演じた音喜多昭吾の風貌などのコントラストが、なるほどそれだけの魅惑を感じさせる妻の説得力。
ネタバレかも
舞台の上にはボート、あるいは板。震災を題材にしながらも、それを悲劇としてではなく、「死んでほしい」と思ってしまう人間の気持ちの中に潜む「悪魔」なのだということの題材に。隣に住んでいるのに助かった人が居ると聞くと戻ってくるなと考えてしまう、あわよくば娘も、と考えてしまうということの一種の悪魔憑きなのだというのはたしかにおおっぴらには語りづらいところだけれど、こういう微妙なところを突くのもたしかになべげん流なのだよなぁと思ったりもします。
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