速報→「深呼吸する惑星」第三舞台
2011.11.27 18:00 [CoRich]
人気劇団、10年ぶりの復活&解散公演。紀伊國屋ホールから大阪・森ノ宮ピロティホール、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場、東京・サンシャイン劇場、福岡・キャナルシティ劇場。120分。
辺境の惑星アルテア65は長年の独立戦争に負け地球連邦に属ている。敵対するアートン星との対立も地球連邦の傘の下にあることで小康状態にある。アルテア人は地球人のように改造手術を受けることも多いが、地球人の生活の水準と同等とはいえない。まもなく地球からの長官の表敬訪問が近づいており、この惑星の首相はその成功を強く望んでおり、この星に根付く踊りでも歓待したいと考えている。街角ではこの国の国花だったキリアスを名乗る男が訪問の中止を求め、演説をしているが耳を貸す人は居ない。 この惑星を訪れた地球人の多くは非常にリアルな幻覚を見る症状を訴える。多くの地球人兵士が自殺してしまうことの原因もこの幻覚に原因があると思われ、その調査のために研究員が派遣されてくる。
日曜夜だというのにやけに年齢が高く、男女とりまぜて満員の劇場、開演前の音楽、期待する客席の熱気。静かに始まり、オープニングのダンス、遠いどこかの場所。鴻上節がめいっぱい。 沸騰するような熱気の時代からはだいぶ遅れて観はじめたアタシにとっても、やはりこの劇団は特別なのです。だけれど、一貫して小さなコミュニティが崩壊していくことと恋愛と孤独を描いていると感じているアタシにとって、わりと今の「日本の問題」を下敷きに描いたような、違和感の序盤ではじまります。
しかし、「日本の問題」を下敷きにしながらも、その中で生きていく、若くはない私たちの些細な、しかし自分にとっては重大な悩み、のようなものにはやはり共感してしまうのです。たとえば中年はとうに過ぎているのに恋のはじめ方がわからなくなってるとか、たとえ恋を始められたとしても、どうなってしまうんだろう自分とか、あるいはかつての恋を思い出してしまう気持ちとか。 あるいは色恋ごとではなくても年齢を重ねてしまって、体動くのかなぁという感じとか。
かつての第三舞台が大好きだったとしても、観客たちもそれぞれに10年のあいだにずいぶん立場が変化してしまったわけで、共感できない人も多いような気がします。しかし、あたしはこういうたまらない孤独な気持ちに実に共感するのです。
正直に云えば、セルフカバーのように、少々古い感じがあるところを意識的に強調している感があるのは、懐かしさという点では確かにうれしいのだけれど、最後だからこそそこは踏ん張ってほしいという感じはあります。
「日本の問題」を扱うことの違和感はあるのだけれど、 何かのバランスオブパワーの均衡点としての惑星、基地があってその土地の雇用も生活もその基地前提になっているという均衡点を生み出しているのは「不満はあっても諦めることで受け流すこと」なのだというのは実にうまい感じ。多くは語られないけれど、イジメられた体験というようなものにも通じる点でこれももまた私たちの問題。 あるいは、「目に見えないけれど飛散してくるもの」への恐怖感のようなものは、「日本の問題」であると当時に、確かに今の私たちにとっては避けられないというのも事実。
★ネタバレか★ 最終公演らしく、いままで描いてきた物語の断片がたくさん。 書いた文章は書き手の手を離れて、あるいは書き手が居なくなってしまってからどうなっていくんだろうという「スナフキン〜」の風味、 あるいは大人になってから本当に困ったことがあったら再会しようという「トランス」の風味。 オープニングや途中でギャグのように挟み込まれるダンスだったりと、そういう懐かしさ、これはこれでうれしいのです。
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