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2011.12.12

速報→「河童夫人」猫の会

2011.12.10 19:30

猫の会の新作。演出があひるなんちゃらの関村俊介というのもおもしろい85分。11日まで中野・MOMO★。

都会の川岸、台風の後らしい河口近く。初めて来た女は何かを待っている。路上生活者(いわゆるホームレス)、釣り人など。

物語の背景には、台風による水害らしい爪痕を。それでも力強く川とかかわり暮らしていく人々、日常に少しずつ戻りつつある釣り人たちや取材する作家、あるいは居なくなってしまった人を諦めきれない人を加えて骨格を作ります。これもまた、震災が癒えはじめている今描かれることに意味があるのだと思います。

全体に流れがあるものがたりというよりは、ある時点の人々を描くこと、時にそれはその人の持つ過去だったり、想いだったり、あるいは欲望だったりを少しずつ詳らかにしていくことで、災害が徐々に過去のものになっていく風景を切り取ります。川という繋がりで、外来種の魚の問題やホームレスたちなど、これまであった問題を分け隔てなく並べる感じはおもしろい。

ホームレスの一人を演じた澤唯は、冷静で圧倒的な信頼をあつめるという役の説得力を軽やかに。家に帰れない男を演じた田中伸一もまた違う意味で軽くてちょいちょいおかしな感じが楽しくて印象に残ります。高見綾演じるホームレスの女のなんと力強いことか。

ネタバレかも

タイトルでもある「河童夫人」はところどころに言葉が出てきますが、物語の上できちんと語られることはありません。「待っている女」とクレジットされた「川沿いで何かをずっと待っている人」は、きっと災害で失われた誰かを諦めきれずに居る女、それは子供かもしれないし恋人かもしれない、河童伝説を妖怪のたぐいではなく誰かの少しばかり目に付く行動を表したものなのだとすると、ずっと人待ちな女の姿、というのも河童なのかもしれないというのはアタシの解釈ですが。待ち続ける女を演じた中野架奈は、そういう物語の背景だと読んだとすると、凛としているし、その去りがたい未練のようなものを語らずに居続けるというのも、力強さを感じさせる、と後付けながら思うのです。

あるいは居なくなってしまってずいぶんたつ兄を捜しに来ている女。こちらも謎は謎のまま、物語の中で決着には至りません。河童婦人にしても、この兄にしても、この人が、という盛り上げをしながらもあっさりとうっちゃってしまうところ、物語に欲がないというか、なんというか。

                                                                 

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