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2011.12.19

速報→「バータイム/パラダイム」Minami Produce

2011.12.18 15:00 [CoRich]

アタシは初見のMinami Produce、バーを舞台にした少しミステリというかSFめいた70分はテンポもよくてドリンク片手に気楽に楽しめます。夜遅い時間や早めの時間の設定も嬉しい配慮です。23日までエビス駅前バー(このバーでの公演はいつもチケット代とは別でワンドリンク必須です)

バーのカウンターでウイスキーを注文する男。もうここで何杯これを飲み続けているか知れない。いつものように奥にはカップル、横には職業がわからない女性、勤め帰りの常連、カウンターにはマスターと雇われのバーテンダー。男は酔いつぶれそうになっている。男は、時間の繰り返しのループの中に捕らわれていて、それを抜け出す、あるいは繰り返しがおこる条件がわからないまま、何度も同じ時間を繰り返しているのだ。

今年公開の映画「8ミニッツ」(アタシは未見)に似た枠組み。小劇場らしく、バーの中で起こるできごと、男と女、人生やらが見え隠れで楽しい感じ。同じSE、同じタイトルコールを繰り返し使うことで、「巻き戻り」を観客に明確に示し(で、それはゲームオーバーのような残念感とともに再チャレンジの始まりということが観客も巻き込まれていくのです)、やがてそれがリズムを生み出します。ときにそれはひどく短いことがあるのもまた楽しい。短い時間にテンポをきちんと作り出すことでエンタテイメントとして観ていて楽しいステージになるのです。

正直に言えば、繰り返しが起こる理由をミステリ仕立てに明かしていく後半よりも、前半、バーで起こるさまざま、特に一番奥の「頃合いのいい薬剤師」と「愛され女子」と「職業のわからない女」をめぐる、陳腐かもしれないけれど、相手を値踏みする人々の会話に冴えを感じます。あるいは中だるみになりそうな中盤を支える「ドラマチックな学生」も常にテンション高い感じで楽しい。

今回の作・演出それぞれの団体に所属を持つ、「だてあずみ。」(句点付くのが正しいらしい)は物語の背骨をしっかりと支えます。若くてちゃらちゃらしてそうだけれど、その軽さゆえに苦悩が際だつ感が今作では巧く機能している感じがする田中正伸。酔っぱらいの常連というのがアタシにはもっとも近い存在に感じてしまう男を演じた島田雅之、もっともキャリアに見えない感じなのはまあ、ご愛敬。

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