速報→「愛想笑いしかできない」andMe
2011.12.4 [CoRich]
女性ばかりで上演する劇団の新作、結婚をめぐるさまざまな女たちの物語を90分。6日までOFF OFFシアター。
結婚相談所に登録している女、なかなか縁遠くもう諦めて一人で結婚式を挙げるのだと言い出す。相談所と提携するブライダルサロンの担当者は姉から結婚しないのかとしつこく責められるが、そういう気にはなれないというのは理由があって。
女性ばかり、結婚するとかしないとか、できるとかできないとかを描いている話といえば、アタシが大好物な物語の香りなのだけれど、少々食い足りない感じも残ります。盛り込んだ題材があまりに多岐にわたるためか、あるいはたいていの女性の悩みの共感が得られるようにしようとしたためか全体にステロタイプな感じになっているのは惜しい感じがします。アタシの友人の云う「カタログになってる」というのはアタシも同感。
とはいえ、女性たちがそれぞれにきちんとキャラクタを持ち、しかも割と見目麗しい女優も多くて、気がつけば鼻の下のばしつつも、物語りに取り込まれてる自分に気がつきます。気楽に観られる体裁にしながらも、 アラサー・アラフォー近辺の女性たちの語るそれぞれの物語は時に鋭く切り込みます。 結婚、仕事、恋愛、不倫、子供、夫のこと、というあたりまではステロタイプな感じがしないでもありません。あるいは仕事と結婚と子供と、どれかを選ぶとどれかを捨てなければいけないのか、というのはきっと女性ならばどこかでその壁を感じることが多いのだろうけれど、題材としてはそう斬新なものではない気がしますが、わりと執拗に多くの角度から描こうというのはちょっと珍しい気がします。とりわけ「あまり苦労せずに就職もして、あんまり考えずに仕事をしてるお嬢様」という感じのキャラクタを描く芝居はそうはないのではないかと思います。
演じた菊池美里が圧巻の安定感とコミカルを自在に操るたしかな力。 一歩間違えば「優秀じゃないのに恵まれてる」という身も蓋もないいやな役になりかねないところを、愛すべき人物に造型するのは役者のちからによるところも多いのではないかと思います。 もたい陽子演じるブライダルサロンの担当者は物語としては軸となるところで、そうそう弾けるわけにもいかず、けっこう難しいところだけれど、ニュートラルさをしっかりと。 大見遥演じる、結婚できそうもない女をあまりにステロタイプなブスキャラに造型するのは、こういう題材の場合どうなんだろうなぁと個人的には思います。とりたてて美人でもなければ恵まれているわけでもない、仕事は一生懸命やっていてお金はちゃんと貯めている、不倫はしてるかもしれないけれど、まったく乾ききってるわけでもない、という意味ではもっともニュートラルな、観客の大多数にリーチしそうな役だけに観客が寄り添えない感じなのはもったいない気がします。一人で結婚式という突飛な願望はおもしろくてそこでもう一本書けそうな気がします。
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