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2011.11.07

速報→「いと愛し」競泳水着

2011.11.5 14:30 [CoRich]

競泳水着の三人の女優だけの70分。6日まで雑遊。

家の一室らしい場所。亡くなったばかりの男は作曲家だった。そのマネージャをしていた女が片づけをしていると、長いこと会っていなかった娘がやってくる。男は家を出ていて、男の妻と娘は二人で暮らしていて、長いこと会っていない。そこにもう一人の女がやってくる。彼女に書いた楽譜があるはずなのだという。

たった三人、70分。関係や想いが徐々に現れてくるという鮮やかな描き方。実はXXでした、みたいに新しい事実を徐々に明らかにするのだけれど、それをオチにしないで軽やかに3人の関係を描くということにだけ注力した感じ。物語そのものというよりは、その台詞の妙を楽しむ印象。どちらかといえば全体の基調は静かですが、その雰囲気に緩急をつけるように、笑いを生むのはたいしたものだなぁと思うのです。この描き方、関係の提示などの凝った作りに比べると物語はごくシンプルなのです。

大川翔子のつっこみ、川村紗也・細野今日子がぼけるという構図はさすがの安定感。 関係ないような台詞や会話をいくつも混ぜながらも、それがぐっと合わさっていって人物を醸すという感じ。駅からの道順をめぐっての口論やその勘違いな感じとか、取説をめぐる会話とか。会話の内容が物語を動かすという感じではないのだけれど、欠かせない対話になっているのです。

晩年は会うこともなく、ピアノで父親を喜ばせることのできなかった娘、父親の愛情を受け止められるだけの才能を持っている女、最後まで傍にいた女性、全体の流れとしてはこの三人が心から交わることはなくて、その対立や疑心暗鬼、嫉妬がさまざまな距離に変化しながら渦巻く感じ。たった三人のごく短い時間の会話なのだけれど、関係が徐々に提示されていく流れはスリリングで見入ってしまいます。

流れとは関係なく唐突に変わる話題も作家らしい感じ。駅からの道順を巡っての口論、大きな勘違いを信じ続けてしまうという発端なのだけれど、この一見無駄に見えるような会話が実に楽しいのです。

大川翔子は物語の軸となり観客からの視座となる安定感をしっかり。細野今日子は今作の中ではもっとも色香を振りまいて目が離せない感じだけれど、客席の場所でもずいぶん印象がかわってしまいそう。川村紗也はいわゆるドジっ娘キャラと見せて、才能ゆえに「先生」からの寵愛を受けたという感じをしっかりと。

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